2023 Fiscal Year Annual Research Report
個別化治療を目指した網羅的解析による膵癌再発予測miRNAパネルの開発
Project/Area Number |
21K16385
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西和田 敏 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80745795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌術後再発 / 神経叢浸潤 / Axon guidance / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:膵癌が最も高悪性度の癌の一つであることは論を俟たず,世界的に今後さらに増加していくと予想されている.膵癌において完全なる局所制御が根治に必須であるが,膵癌は大血管周囲神経叢に容易に浸潤を来たすことを特徴とし,根治切除後であっても高率に局所再発を来す.近年,癌と神経新生,軸索誘導 (Axon Guidance, AG) との関連性が着目されており,この関連分子が神経周囲浸潤や転移を促進するとの報告がある.今回我々は統合解析を基に,膵癌術後神経叢局所再発予測Axon guidance関連microRNA (AGMP) パネルを開発した. 方法:miRNA pathway検索ツールのmiRPathDB 2.0を用いて,AGに関連する候補miRNAを抽出した.続いて当科で2006年から2020年に手術加療しR0切除が得られた膵癌462例の切除標本を用いてqRT-PCRにて各miRNA発現を調査し, 術後神経叢局所再発有無を基に, AGMPを創出した.さらに,治療前血液サンプルからExosomal miRNAを抽出し,治療前神経叢周囲再発リスク予測能を検証した. 結果:AGに有意に強く関連する13 miRNAを抽出した.この診断パネルの確立のため,qPCRを施行し,Logistic回帰モデルにてAGMPを構築した.このAGMPは複数コホートにおいて良好に術後神経叢局所再発を予測した (AUC=0.95,0.91).さらに,AGMPは治療前血液コホートにおいても,同様に良好な神経叢局所再発予測能を呈した(AUC=0.86). 結論: 膵癌手術における局所制御は根治に向けた大前提であり,その術前予測を可能とするAGMPは手術適応の厳格化および治療方針決定においてブレイクスルーとなり得る.神経新生およびAxon guidanceの解明が,特異的分子標的治療開発への道標となる可能性がある.
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