2021 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝グラフトの酸素化灌流修復における小胞体・ミトコンドリア相互作用の意義
Project/Area Number |
21K16394
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 隆壽 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (10844748)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝移植 / 臓器灌流 / ミトコンドリア / 小胞体 / 脂肪肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪肝グラフトの利用はドナー不足解消の方策となるが、大滴性脂肪肝は予後不良である。近年、機械灌流 (MP) によって大滴性(30-60%)脂肪肝の虚血再灌流傷害を軽減できることが示された。しかし、脱脂促進剤の効果、至適灌流温度、灌流液、コンディショニング法のコンセンサスは無い。本研究の目的は、脂肪肝の冷保存再灌流傷害を軽減する新しい肝体外灌流法を確立し、臓器保護メカニズムを明らかにすることである。主な解析対象を脂肪滴、小胞体、ミトコンドリアの相互作用に設定し、エネルギー代謝とCa2+、水の動態を精査することを目指している。目的達成のために研究協力者 (大学院生) に臓器冷保存、肝低温酸素化灌流、移植後の再灌流を模した単離肝灌流等のモデルの技術を指導し、習得させた。所属研究室で常時行っている他の臓器保存研究と連動して、手術指導やデータの評価をリモートで実施できるシステムを構築した。SHRSP5-Dmcr rat, 雄, 4-8週令に高脂肪・コレステロール(HFC)食を給餌した。5~14日の給餌によって繊維化を伴わない単純性脂肪肝を呈し、8-12日の給餌が本検討に適した大滴性脂肪肝となった。また、市販の核、細胞質、ミトコンドリアの分画法を検討し、全画分で十分なタンパク質量を得ることができるようになった。また、肝組織のproteomics解析とメタボローム解析のための試料を同時に得るための条件検討を行った。具体的には、トリクロロ酢酸 (TCA) により沈殿させたタンパク質を洗浄、精製、消化してLC-MS/MS用の試料とした。上清の水溶性代謝物層はジエチルエーテルによるTCA除去を繰り返し、pHが安定した試料を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19感染症の蔓延により、研究機関への客員研究員の施設への立ち入り制限が断続的に行われた影響により、申請者自身による研究の遂行が困難であった。研究協力者の大学院生、技術補助員のサポートによって進捗しているが、当初計画よりも若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は本研究に必須の各種測定、評価法の基本的な検討を中心に検討しつつ、臓器灌流のモデルも稼働させた。リモート(web) にて研究協力者への技術指導やデータ評価を実施することで対応できることは可及的に進めていく。しかし、COVID19の蔓延状況が好転しなければ、施設への立ち入り制限や申請者自身の臨床業務の状況 (医療の逼迫状況) を勘案し、研究の延期あるいは中止を考慮しなければならないかもしれない。
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