2023 Fiscal Year Annual Research Report
ABO血液型不適合腎移植における抗血液型抗体価リバウンド現象発症機序の解明
Project/Area Number |
21K16396
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 竜平 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (90770652)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗体関連型拒絶反応 / ABO血液型抗体 / リバウンド現象 / BAFF / 形質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院でABO血液型不適合生体腎移植術施行した81例を対象とし、術後1カ月以内に抗体関連型拒絶反応(ABMR:acute abtibody mediated rejection)を発症したABMR群(10例:12.3%)と非ABMR群(71例:87.7%)の2群に分けて比較検討を行った。その結果、抗体価リバウンドを20例(24.7%)で認め、ABMRの有意な危険因子であった。抗体価リバウンド症例、さらにはABMR症例では、移植直前のB細胞活性因子(BAFF:B cell activating factor)が高値で、骨盤内リンパ組織中でCD138陽性細胞(形質細胞)が多かった。本研究の結果から、ABO血液型不適合生体腎移植におけるABMRの発症には、リツキシマブ投与後の抗体価リバウンド、移植前のBAFF高値、リンパ節中のCD138陽性形質細胞の増加が関与していることが示唆された。 リツキシマブは、CD20陽性のB細胞を枯渇させることで抗ドナー抗体の産生を抑制すると考えられているが、投与後も二次リンパ組織中にB細胞が残存している症例があり、それがABMRの発症に関与している可能性がある。リツキシマブ投与後の抗体価のリバウンドとBAFF高値が、ABMRの発症リスクを予測するバイオマーカーとなる可能性がある。また、リンパ節中の形質細胞の役割に着目することで、新たな治療ターゲットの探索にもつながる可能性がある。
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