2021 Fiscal Year Research-status Report
マウス小腸移植モデルを用いた小腸移植後抗体関連型拒絶反応の発症機序と治療法の解明
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21K16401
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松島 肇 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00644337)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小腸移植 / 抗体関連型拒絶 / マウス / 急性拒絶反応 / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
MHCハプロタイプの異なる25-30gのマウス間で同種異系間移植を行った。B6マウスの皮膚8-10x10mm^2をC3Hマウスの背部に移植した。2週間後、C3Hマウスの末梢血を採取し、B6のsplenocytes(0.5x10^6)と室温で反応させ抗体価(IgG)をフローサイトメトリーにてMFIを測定し、抗体価が上昇していることを確認した。B6マウスの回腸を10cm長採取し、皮膚移植後2週間目のC3Hマウスに異所性小腸移植を行った。移植後2日目、4日目、7日目でグラフト摘出し、急性拒絶反応の程度を皮膚移植を行っていないマウスと比較評価した。皮膚移植により前感作させたマウスに小腸を移植するとコントロールと比較して移植後2日目では急性拒絶反応に差は認められなかったが、4日目、7日目では拒絶反応が促進され、抗体関連型拒絶が誘発されていることが示唆できた。 今後、グラフトにおける血管炎の所見の評価や免疫染色で補体C3,C4d,C5などの血管壁への沈着やCD8陽性細胞の粘膜固有層への浸潤程度を比較する予定である。また、抗CD20抗体などで抗体産生する効果のある薬剤を投与することでいかに抗体関連拒絶が制御できるかについても検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大による物流停滞に伴う実験器具や試薬の搬入が遅れていること及びマウス皮膚移植の手技安定に予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス小腸移植モデルの手技はすでに安定した。 今後は、サンプル数を増やすとともに移植後各タイムポイントでのグラフトの補体活性化状況を免疫染色で評価することで、小腸移植後の抗体関連型拒絶のメカニズム解明ならびに診断に有用な特徴的病理学的所見を提唱する。さらにそれらの結果を踏まえ、抗補体抗体や抗CD20抗体などの治療効果の検討を行う。
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Causes of Carryover |
マウス皮膚移植の手技安定に計画より時間を要したため、やや研究の進行が遅れている。皮膚移植の手技安定後にマウス小腸移植を開始したため、解析するサンプルの収集数が現時点で十分でなく、ある程度サンプル数が集まった時点で免疫染色による解析を行うためそのための試薬購入費用が繰越となっている。また、あわせてマウス小腸移植の実施数が予定よりも遅れているため、マウス購入費用が繰越となっている。 今後、マウス小腸移植施行件数の増加にかかるマウス購入費用、手術に必要な縫合糸の購入費用、免疫染色及び治療実験等に必要な試薬の購入費用等に使用する予定である。
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