2023 Fiscal Year Research-status Report
マウス小腸移植モデルを用いた小腸移植後抗体関連型拒絶反応の発症機序と治療法の解明
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21K16401
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松島 肇 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00644337)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小腸移植 / 抗体関連拒絶 / マウス / 急性拒絶反応 / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸移植においてドナー特異的抗体(DSA)の存在は抗体関連拒絶発症のリスクと考えられているが、その発症機序及び診断に有用な病理学的組織像は不明な点が多い。今回我々は皮膚移植による前感作マウス小腸移植モデルを作成し、移植後のグラフトにおける病理組織像を評価した。DSAを作成するためドナーマウス(C57BL/6:H2Kb)の皮膚をレシピエントマウス(C3H:H2Kk)背部に移植し、移植後3、7、14日目での血清DSAをフローサイトメトリーの平均蛍光強度(以下MFI) にて評価した。皮膚移植後14日目に異所性小腸移植を行い前感作群として小腸移植後2、4日目にグラフトを摘出・評価した。非感作群をコントロールとし、病理組織像を比較した。前感作群(n=6)と非感作群(n=6)を作成した。血清DSAに関して前感作群で経時的なMFIの上昇を認めた。移植後2、4日目のグラフトをスコアを用いて拒絶を評価したところ、前感作群で有意に高度な拒絶を認めた(day2:P =0.04 day4:P <0.01)。免疫染色でCD4、CD8陽性細胞のグラフト浸潤には両群で有意差を認めなかった。一方、CD20、CD68陽性細胞ともに移植後2日目に前感作群にて有意に多くの浸潤を認めた(CD20:P =0.04, CD68:P <0.01)。また、補体に関して、前感作群では移植後2日目にグラフト血管内にC3、C4の顕著な染色像が確認できた。前感作マウス小腸移植モデルの作成に成功した。グラフトへの高度なB細胞、マクロファージの浸潤やC3,C4沈着は小腸移植後の抗体関連拒絶の診断の一助となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス小腸移植の手技安定に予定より時間を要したため当初の研究計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸移植手技は安定し、予定通り移植後のグラフトの組織学的評価を行うことができた。抗体関連拒絶に特有の病理像も確認でき、今後論文化を目指している。
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Causes of Carryover |
実験モデルの確立に時間を要し研究の進行が予定より遅れたため次年度使用額が生じた。次年度に研究成果の学会報告及び論文作成、追加実験に使用する予定である。
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