2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of innovative personalized treatment using cancer-derived exosomes for disseminated gastric cancer
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21K16414
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 泰典 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80738831)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胃癌腹膜播種 / 癌由来エクソソーム / 革新的個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画として(1) 胃癌細胞株由来エクソソーム(以下exo)の機能解析、(2)胃癌患者組織由来マウスモデル(PDX)作成、および(3)探索的検討としてPDXから細胞株の樹立を試み、また(4)exoの基礎的研究としてがん微小環境(hypoxia)におけるexo変化を検討した。 (1)癌由来exo添加による癌細胞自体の細胞接着能および播種成立への影響、抗腫瘍効果に与える影響をin vitro、in vivoで評価した。in vitroの解析からは、exo添加による化学療法抵抗性の増強が示唆された。in vivoでは、ヌードマウスを用いた同所移植モデルおよび癌細胞を腹腔内注射したモデルに対する播種成立・腫瘍進展への評価を行ったが、今回の検討では統計的有意差を認めず、両検討とも条件を整え再解析を要すると判断した。(2)本研究の全期間継続して施行予定の胃癌PDXの作成に関しては、相応の組織量が必要である一方、進行胃癌手術数減少により、作成数は目標に達しなかった。(3)樹立経代・凍結保存からの再継代可能な症例に関して細胞株の樹立を試みた。PDX由来の2次細胞培養は元々の腫瘍由来の細胞株樹立より高率と報告されるが、現時点では樹立に至らず、培地・抗菌薬等の組み合わせや他症例での樹立を模索していく。(4)がん微小環境におけるexo変化の基礎的検討として、低酸素環境下におけるexoの変化を評価した。予備データのある食道扁平上皮癌細胞株に関して、normoxia(20% O2), hypoxia(1% O2)環境下の培養上清から超遠心法を用いたexo抽出を行い、Nanosightによる定量・粒子径変化への影響、内包miRNAの網羅的解析を行い、共通して変化する複数のmiRNAを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)胃癌細胞株由来exoの機能解析:MKN1,MKN45,MKN45-GFPを用い、in vitroにおいてはcolony forming assayおよびcytotoxic assayを用いた解析を行なった。再現性に乏しく条件を整えていく必要があり、超遠心法でのexoの抽出自体に時間を要することから進捗はやや遅れているが、実験系は確立しており次年度結果を得られると考える。胃癌細胞株培養上清より抽出したexoに電気穿孔法でDocetaxelを内包させ、exo添加、薬剤添加の有無の4群をcytotoxic assayで評価し、Doce単独に比してDoce+exoでは治療抵抗性を高めた(p=0.002)。再現性の確認しかつ細胞株や薬剤を変化させ、さらなる知見を得る。in vivoでは、同所移植からの播種成立阻害に関し、MKN45-GFPの同所移植マウス(n=6)、i.pによる腹膜播種モデルマウス(n=9)に対しexo投与有無による腫瘍進展への評価を行ったが現時点では有意な結果を得られていない。しかしながら、in vitroの結果を元に条件と整え表現系を確認できる可能性が示唆される。(2)(3)胃癌PDX作成および細胞株の樹立に関し、前述のごとく作成数は目標に達していない。しかし、十二指腸癌や小腸癌など病態の近い癌種に関し同意のもとPDX樹立を経験し、また胃癌悪性腹水からの細胞株樹立にも着手しており、概ね順調と考える。(4)T.Tn, KYSE410, KYSE960を用い、normoxia(20% O2), hypoxia(1% O2)環境下の培養上清から超遠心法を用いたexo抽出を行い、Nanosightによる定量・粒子径変化への影響、内包miRNAの網羅的解析を行い、共通して変化する複数のmiRNAを同定できており、同様の手法で胃癌細胞株へ適応することが可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の進捗を元に、さらなる解析を行う。初年度は手術症例数の減少および社会的要因による物品・機材調達の遅れから計画と一部遅れる部分もあったが、多方面から新たな知見の可能性を得ている。 胃癌由来エクソソームの機能解析においては、細かな条件の整理から引き続き接着能および治療抵抗性に関する表現系を再現するとともに、網羅的解析による遺伝子発現変化を検討する予定としている。癌由来エクソソームの癌細胞自体への取り込み効率に関しても、蛍光イメージングを用いて評価予定である。 胃癌PDX作成に関しては、 術前治療の有無に関わらず積極的に作成症例を確保するとともに、生着率の向上のため1症例あたりの移植数を増加させるなど対策を講じる。悪性腹水からのモデル樹立もすすめていく。計画にある通り、実臨床における患者組織由来のexoを抽出するため、組織自体からのexo抽出についても検討していく。がん微小環境とexoについては、低酸素におけるexo内包miRとHIF-1αなど低酸素応答関連遺伝子発現および腫瘍進展・化学療法抵抗性への影響に関して解析を予定する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大に伴い、国内外の学会に参加できなかった事による。併せて研究資材の入荷が遅れた為。
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