2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular mechanism about anti-tumor immune evasion by beta-catenin in hepatocellular carcinoma and its therapeutic application
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21K16415
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
下川 雅弘 昭和大学, 医学部, 講師 (80898312)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | β-catenin / 抗腫瘍免疫 / 免疫回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、Cas9による遺伝子編集を継続し、当研究室で樹立したマウスHCC細胞株(3H3, HrasQ61L)にPten-KOを行い(3H3-P細胞)、これにCtnnb1 exon3-skipping (3H3-PC3s細胞)およびCtnnb1-4A(constitutive active)を導入(3H3-PC4a細胞)しβ-catenin高発現細胞として使用した。また、Hepa1-6細胞株はもともとCtnnb1 exon3 skipping変異を有しβ-catenin高発現であり、これにexon2/4型mRNAの選択的ノックダウンを行なったHepa1-6-Cd細胞をβ-catenin低発現細胞として使用した。 上記の3H3-P細胞、3H3-PCs/PC4a細胞、Hepa1-6細胞、Hepa1-6-Cd細胞を用いてin vitro実験系で抗腫瘍免疫細胞との相互作用について検討を継続した。マウス樹状細胞を用いて、各腫瘍細胞との共培養および培養上清の添加による免疫チェックポイント分子発現の変化を評価したが、FCM・mRNA発現共に有意な結果が得られなかった。 また、前年度に引き続き、in vivo実験系としてBL6マウスへの皮下移植を継続したが、β-catenin過剰発現細胞あるいは前年度までに同定したサイトカイン・ケモカインの発現を編集した細胞においても生着や増大が得られず、免疫抑制的な腫瘍微小環境形成や、腫瘍浸潤性の免疫細胞についての評価が困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、Ptenノックアウトに引き続きβ-cateninのノックダウンや過剰発現を行なってマウス皮下移植や免疫細胞との共培養などの実験を継続したが、標的遺伝子操作によらず生着性が低下したり、期待される樹状細胞の機能変化が得られないなど、腫瘍細胞の抗原性の問題が解決されなかった。複数の遺伝子操作を経てvitroやvivoの実験に供されるデザインのため、止むを得ずCas9持続発現による遺伝子操作を継続しているが、ベクターの再設計など研究デザインの変更を含め検討を続けており、進捗に遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
3H3細胞のBL6マウスへの生着性改善のために追加導入する遺伝子変異の選択肢として、アポトーシス回避による比較的穏やかな腫瘍増殖能獲得を期待してPten KDを選択したが、期待される生着性改善が得られず、また得られる腫瘍数が少ないことから腫瘍免疫細胞の評価について再現性の担保が困難であった。改善策として、肝細胞癌のcommon mutationとして知られるTERT あるいはP53、MYCいずれかのKD追加により増殖能獲得が期待され、安定した解析が可能になると期待される。
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Causes of Carryover |
遺伝子編集した細胞株の作成とマウスへの移植実験に遅れが生じていることから、次世代シークエンスなどへの支出ができず、次年度使用額が生じております。2004年度にRNAシークエンス、マスサイトメトリー(CyTOF)による解析を計画しておりこちらに使用予定です。
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