2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of neutrophil extracellular traps (NETs) on response to cancer immunotherapy.
Project/Area Number |
21K16432
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
金丸 理人 自治医科大学, 医学部, 助教 (10625544)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好中球細胞外トラップ / 免疫療法 / ケモタキシス / 細胞障害性T細胞 / CXCL-11 / 細胞運動 / 免疫チェックポイント阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.In vitro遊走実験:健常人末梢血から好中球と単核細胞(PBMC)を採取、好中球をPMA(1microM)またはLPS(10microg/ ml)で15分間刺激し、十分に洗浄し、さらに4時間インキュベートしNETsを作成、PBMCは抗CD3抗体でコーティングプレート上でr-IL-2(10ng/ml)を含む培養液にて7-14日間培養し、活性化T細胞を得た。このT細胞を3ミクロンのporeを有するインサートに静置し、下層にCXCL-11(1000ng / ml)を含んだ培養液を添加、2時間後に下層に遊走した細胞数を検討したところ、T細胞の遊走はPMA活性化好中球の存在下で劇的に減少し、DNase IによるNETsの分解や、遠心分離によってNETs成分を除去しても変化はなかったが、カタラーゼ(800u / ml)で前処理するとキャンセルされた。また、活性化T細胞のplastic plate上のrandom migrationをタイムラプス動画で観察すると、PMA刺激好中球の上清の添加で劇的に抑制された。また、活性化T細胞の遊走はLPS活性化好中球によって有意に阻害されたが、NETsを除去するとその抑制は部分的に解除された。
2.ウエスタンブロッティングにてCXCL-11はLPS刺激好中球に由来するNETsと共存させると8kDのCXCL11に対応するbandは消失したが、PMSFまたはNEIを添加するとbandは残存した。
3.In vivoでのNETsの効果を検討するために、C57/BL6マウスに同種胃癌細胞YTN16を腹腔内投与し腹膜播種を形成させる実験系を作成し、抗PD-1抗体に投与が有効であることを確認した。また、活性化好中球由来のNETsを共投与すると腹膜播種の形成が促進されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたIn vitroでの解析をほぼ完遂し、「NETsあるいは活性化好中球がTリンパ球の遊走に対して抑制的な作用を持つ」という仮説の正当性を示唆するデータが得られた。一方、PMAとLPSで刺激した好中球由来のNETsでは、T細胞の運動能に対する影響が若干異なっている事実がわかり、好中球はいくつかのメカニズムを介してT細胞の浸潤に影響を与えていることが判明した。この点に関しては、新たにその機序を解明するIn vitroの実験を追加することにする。 また、同種の胃癌細胞による腹膜播種の動物モデルにてPD-1抗体の作用を確認することができ、今年度以降の免疫チェックポイント阻害薬の奏効にNETsがどんな影響を与えるかを検討できる基盤となる実験系が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. In vitroの実験で、PMA刺激好中球は活性酸素(ROS)を介してT細胞の運動を抑制するが、LPS刺激好中球ではNETs依存的にケモカインを分解することで遊走を抑制することが示唆されたため、この機序についてより詳細に検討を加える。
2. C57/BL6マウスに同種胃癌細胞YTN16と活性化好中球由来のNETsを腹腔内に共投与し腹膜播種を形成させる実験系にて、抗PD-1抗体 (200microg/mouse)を3日毎に投与し、その治療効果をNETs非存在下の治療効果と比較検討する。さらに、DNAse 1 (2000u/mouse)あるいはPAD阻害薬Cl-Amidine (50mg/Kg)をそれぞれ腹腔内、皮下に連日投与し、抗PD-1抗体の奏効性の変化を検討する。さらに、それぞれの動物においてPD-1抗体治療後の組織切片を作成、Cit-H3抗体でNETsの存在確認を行うとともに、腫瘍に浸潤した免疫細胞の種類や密度を、CD3, CD4, CD8, CD19などのリンパ球亜群、F4/80, CD11b, Gr-1に対するモノクロナル抗体を用いて染色し、NETsの存在が腫瘍の免疫学的がん微小環境に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究は昨年度獲得した研究活動スタート支援に継続する課題であり、In vitroの実験のほとんどは前年度の研究資金で実施することができた。繰り越し分にて、本年度以降に予定していたin vivoの実験を繰り返し、各種モノクロナル抗体を用いた免疫染色実験にて信頼性の高いデータを得ることに努めたい。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] PMA刺激好中球が癌細胞の遊走能に与える影響2021
Author(s)
髙橋 和也, 大澤 英之, 金子 勇貴, 田村 昂平, 木村 有希, 齋藤 晶, 東條 峰之, 金子 理人, 佐田友 藍, 宮戸 秀世, 佐田 尚宏,北山 丈二
Organizer
第80回日本癌学会学術集会
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[Presentation] 活性化好中球は活性化T細胞の遊走能を抑制する2021
Author(s)
田村 昂平, 金子 勇貴, 風當 ゆりえ, 髙橋 和也, 木村 有希, 齋藤 晶, 東條 峰之, 金丸 理人, 佐田友 藍, 宮戸 秀世, 大澤 英之, 嵯峨 泰, 竹井 裕二, 藤原 寛行,北山 丈二
Organizer
第80回日本癌学会学術集会