2023 Fiscal Year Research-status Report
大腸ポリポーシス患者の遺伝学的検討ー新たなサーベイランスの確立を目指してー
Project/Area Number |
21K16437
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Hospital Organization Tokyo Metropolitan Komagome Hospital |
Principal Investigator |
高雄 美里 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 大腸外科, 医員 (10799547)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリポーシス / 体細胞モザイク / 家族性大腸腺腫症 / 遺伝性腫瘍 / FAP / デスモイド腫瘍 / 十二指腸腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院で大腸ポリポーシスに対してサーベイランスを行っている32例を対象とした。対象症例に対し、患者血液を用いて次世代シークエンサーによるポリポーシス原因遺伝子(APC, AXIN2, GREM1, MUTYH, MSH3, NTHL1,POLE, POLD1, RNF43)の検索を行った。必要に応じてMLPA法やサンガーシークエンスを行った。APC遺伝子の病的バリアントが同定された症例は14例、MUTYH遺伝子の病的バリアントが同定された症例が1例であった。残りの17例に関しては血液を用いた遺伝学的検査では明らかな原因遺伝子は同定できなかった。 上記検索でバリアントが同定されなかった症例のうち大腸ポリープの組織採取が可能であった症例において体細胞モザイクの検索を行った。大腸内視鏡施行時に採取した大腸生検検体からQIAamp DNA mini kitを用いてDNAを抽出し、APC遺伝子のバリアントを検索した。異なる2か所以上で同様のバリアントが同定された場合をAPC体細胞モザイクとした。今年度中に来院し検体採取に同意が得られた症例は1例であったが、本症例では異なる2か所の大腸生検からAPC c.896_897delCTのバリアントが同定され、体細胞モザイクと判断した。 遺伝学的検査で明らかな原因遺伝子が同定されなかった症例のうち、過去に手術や内視鏡的切除の際に保存しているFFPE検体がある場合にはFFPEよりDNAを抽出し解析を行ったが、経過年数が長いほどDNAの回収率が悪く解析困難であった。 本年度は新たに大腸に腺腫性ポリープを10個以上もつ患者3名に対し、まず血液による遺伝学的検査を行った。さらに、これまでに生殖細胞系列のAPCバリアントの同定されていない2例に対して大腸スクリーニング時にポリープの生検検体を採取し体細胞のバリアントの確認を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希少疾患でもある中で順調に症例を集積している。 解析の効率性から検体が十分に蓄積されたところでまとめて解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き①患者血液を用いたポリポーシス原因遺伝子の同定、②患者組織及び血液を用いたAPC体細胞バリアントの同定を行う。得られたシークエンス結果について、原因遺伝子ごとの臨床病理学的特徴の解析を行う。本年度は論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は産休・育休期間となり研究に遅れが生じた。そのため研究機関の延長を申請している。また、今年度までに投稿準備が整わず、校正費や投稿費は計上せず次年度使用分とした。次年度は解析費用および論文投稿に関する支出となる予定である。
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