2023 Fiscal Year Annual Research Report
胆道癌における形態別にみた上皮内病変の胆管内分布とclonality
Project/Area Number |
21K16439
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 裕之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10516503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝外胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胆管癌で高頻度に変異が報告されている20遺伝子を搭載したカスタムパネルを用いたターゲットシーケンスにより、2018年から2023年までに当院において根治切除を施行した胆管癌32例を対象とし、切除材料を用いて胆道上皮内病変の形態的特徴と長軸方向への分布、遺伝子変異を詳細に解析し、進展度診断の在り方を再検証した。 【結果】 対象とした32例の内訳は遠位胆管癌22例、広範囲胆管癌4例、肝門部胆管癌5例、IPNB1例で、27例で膵頭十二指腸切除が、5例でHPDが施行された。性別の内訳は男性28例、女性4例、年齢中央値は75歳であった。主腫瘍に何らかの遺伝子変異を有する症例は32例中29例(91%)で、TP53変異については、missense変異13例、nonsense変異12例と、32例中25例(78%)に認められた。主腫瘍のp53免疫染色ではMissense変異13例中12例で腫瘍細胞核における過剰発現パターン、Nonsense変異12例中8例で腫瘍細胞での発現が全くみられないcomplete absenceパターンを呈しており、同変異と染色パターンには高い一致率がみられた。最終病理診断ではHM0 25例、HM1 4例、HM2 3例であり、HM1およびHM2症例では全例胆管断端に遺伝子変異が認められ、その遺伝子変異は主腫瘍と一致していた。HM0症例25例のうち10例(40%)では胆管断端に遺伝子変異が認められ、1例を除き主腫瘍と同じ遺伝子変異であった。HM0症例で吻合部再発は2例に認められ、いずれも断端に遺伝子変異を認める症例であった。 【結語】本研究により、病理学的に癌と判定できなくても、変異情報によりその存在を証明しうる可能性が示された。
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