2023 Fiscal Year Research-status Report
凍結保存による同種静脈グラフトの抗原性変化・組織障害に関する検討
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21K16441
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市田 晃彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20897582)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 静脈ホモグラフト / viability |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに肝移植症例14例、肝胆膵外科手術3例、合計17例が検討可能と判断していた。また、未使用のホモグラフト19例をコントロール群として、同様に検討した。免疫組織学的評価を行い、未使用ホモグラフトでは凍結保存・解凍後も血管の構造が保たれ、内皮細胞もほぼ残存、炎症細胞浸潤がないことが確認された。移植後の17例でも血管の構造は保たれており、拒絶反応を示唆する所見は見られなかった。内皮細胞は16例中13例で残存していた。術後、閉塞してしまったホモグラフトでは壊死と線維化が見られた。ホモグラフトの構造維持のためには内腔の血流が重要であることが示唆された。 本研究では静脈ホモグラフトを使用する際に抗凝固療法が不要、免疫抑制療法が不要、感染に強い、といったメカニズムを解明することを目的にしていたが、組織学的な評価の結果からはホモグラフトの血管構造およびviabilityが保たれていることがこれらの利点につながっているのではないか、と推察された。ホモグラフトのviability評価のため、さらに追加でホモグラフトの細胞増殖能が保たれているか、追加実験を行うこととした。また、ホモグラフトの組織が長期生存するため、将来的にはレシピエント由来の細胞に置き換わるのではないかと仮説をたて、これを検証することとした。2023年度は未使用ホモグラフトをコラゲナーゼ処理し、細胞を分離・培養し、線維芽細胞の増殖を確認することができた。また、ドナーとレシピエントで性別が異なる症例においてin situ hybridizationにてXX染色体、XY染色体を同定し、ホモグラフトにレシピエント由来の細胞が入り込んでいるか、確認した。ホモグラフト内にはレシピエント由来の細胞が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ホモグラフトの組織を免疫組織学的に評価し、その利点を裏付けるメカニズムを解明するためには追加実験が必要と判断したため、遅れが生じた。追加実験の結果がまとまり次第、論文化する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
追加実験がほぼ終わりつつあるため、そのデータをまとめて学会・論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
追加実験の一部が2024年4月以降になってしまったため、その実験費用を次年度に支払う必要が発生した。また、追加実験の結果も盛り込んで学会発表・論文発表を行うため、学会参加費、出張費、英文校正費用、論文投稿費などが今後、発生する見込みである。
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Research Products
(1 results)