2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of activation of myofibroblasts and cancer associated fibroblasts in fibrotic liver
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21K16444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 太宏 京都大学, 医学研究科, 医員 (20899215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝線維化 / 癌関連線維芽細胞 / myofibroblast / 肝細胞癌 / 胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. マウス肝線維化モデルによる肝臓線維芽細胞活性化の確認:I型コラーゲンの発現をGFPで標識したreporterマウス(Col-GFPマウス)に対して、CCl4投与による肝細胞性障害、コリン欠乏メチオニン減量高脂肪食(CDAHFD)による非アルコール性脂肪肝炎、partial bile duct ligation (pBDL)による胆汁うっ滞性障害を誘発し、それぞれの障害肝モデルにおいてCol-GFPで標識される肝臓線維芽細胞の活性化よるmyofibroblastの増殖を確認した。 2.慢性肝障害・肝線維化を背景とするマウス肝癌モデルの確立:diethylnitrosamine (DEN) によるマウス肝発癌モデルに対して、上述のCCL4、CDAHFD、pBDLによる肝障害を誘発し、肝線維化を伴う慢性肝障害を背景とするマウス肝癌モデルを確立した。非腫瘍部肝実質への肝臓myofibroblastの増殖と、肝腫瘍被膜および腫瘍内への癌関連細胞線維芽細胞(cancer-associated fibroblast; CAF)の浸潤を認めた。 3. 肝臓myofibroblastの分離培養:上述の肝線維化を誘発したマウス肝臓からCol-GFPで標識されるmyofibroblastをflow cytometoryによって選択的にsortingできることを確認した。 4.ヒト肝癌組織の免疫染色:ヒトの肝癌手術標本の切片を用いて、これをαSMAやThy1などの線維芽細胞マーカーで染色し、背景非腫瘍部および腫瘍部の線維芽細胞浸潤を確認した。肝細胞癌では腫瘍被膜部位に、sirius red染色で標識される線維化部位に一致してαSMA陽性細胞の浸潤が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおいて慢性肝障害および肝線維化を背景とした肝癌モデルを確立した。腫瘍内に非癌細胞であるCAFの浸潤を確認できた。CCl4で誘発される肝細胞性障害モデルにおいては、NASH肝障害モデルよりも肝発癌が促進されることが判明した。ヒト肝癌検体においても、腫瘍部に線維芽細胞増生が認められ、CAFの浸潤の可能性が示唆された。現時点ではそれらの活性化マーカーとなる因子は不明であり、また腫瘍の進展および悪性度との関連性も明らかでない。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス肝癌モデルにおいて、腫瘍部および非腫瘍部からCol-GFPで標識される線維芽細胞を分離し、それぞれの遺伝子発現プロファイルをsingle cell RNAseqにて解析し、それらを特徴づけるマーカーの探索を予定している。実際に腫瘍組織から線維芽細胞の集団を効率的に分離できるかどうかが課題となり、条件設定を試みている。また、異なる肝障害モデルにおいて、背景肝の活性化されたmyofibroblastと腫瘍内のCAFの特徴を免疫組織化学的に比較検証を行う。以上のマウス実験に並行して、実際の肝臓組織においてCAFの活性化マーカーの妥当性を検証することを目的として、ヒト検体を用いた空間トランスクリプトーム解析を予定する。HEやαSMA染色から同定される腫瘍内のCAFの局在と遺伝子発現プロファイルを照らし合わせることによって、CAFの活性化を制御し、治療標的となりうるマーカーの妥当性検証を目標とする。新鮮なヒト手術検体を準備することが必要であり、適正な症例選択とサンプリング手技について準備を進めている。
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Causes of Carryover |
当該年度は動物実験モデルの確立と検体のサンプリングを主に行った。 single cell RNAseqや空間トランスクリプトーム解析などの網羅的解析を次年度に予定しており、その費用を次年度使用額として請求する。
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