2021 Fiscal Year Research-status Report
IPMNオルガノイドモデルの創出と遺伝子スクリーニングによる悪性化機序の解明
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21K16451
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 隆志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00883422)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IPMN / 膵オルガノイド / IPMN微小環境 / CRISPR Screening / Single cell RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)は膵癌の前癌病変であることが知られている。IPMNの多くは低悪性度腫瘍であるが、一旦癌化すると通常型膵癌と同様に早期に転移、浸潤を来すため(IPMN由来浸潤癌)、適切な画像診断やフォローアップが必要とされている。また、IPMN由来浸潤癌が存在する以外に、IPMNと診断された症例ではIPMNとは離れた部位に通常型膵癌(IPMN併存癌)が見つかりやすいことが近年明らかにされてきており、IPMN の悪性化の過程を分子生物学的に明らかにすることは、IPMNの癌化の早期発見、あるいは癌化の予防に繋がると期待される。 本研究では、IPMNの疾患モデルとして、膵オルガノイドとそれを用いたsyngenic mouse modelを確立し、IPMN癌化メカニズムの解析に応用することを計画し、将来的なIPMN悪性化の過程での血液マーカーの探索、あるいは微小環境を介したIPMNの癌化抑制治療の開発を目的としている。 今年度はKPCマウスを用いたscRNA-seq解析および胃癌、食道癌の手術検体でscRNA-seq解析を行い、解析手技を確立した。また、ヒト膵癌検体由来のオルガノイドモデルの作成手技を確立した。また、KPC由来細胞株に対してCRISPR Cas9手技を用いてSmad4 knock out細胞株の作成に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では膵オルガノイドに遺伝子変異を導入し、IMPNオルガノイドを作成し、それを用いたsyngenic mouse modelを作成することを計画している。さらに、CRISPR Screeningを用いて、IPMNオルガノイドモデルの悪性化責任遺伝子を同定し、scRNA-seq解析を行うことで、IPMN微小環境の単一レベルでの変動解析を行う予定である。 現段階では、ヒト膵癌細胞を用いたオルガノイド作成、CRISPR Cas9を用いたゲノム編集の手技、scRNA-seq解析の手技を獲得し安定して行えるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌でのオルガノイド作成の技術をもとに、マウスIPMNオルガノイドの作成とそれを用いたsyngenic mouse modelを確立し、CRISPR ScreeningによるIPMNの癌化の原因遺伝子を同定する予定である。現在、膵癌オルガノイドは安定して樹立できるようになったため、今後はこの技術を用いてIPMNオルガノイドの樹立に取り組む予定である。その後は、IPMNオルガノイドモデルを用いたCRISPR screeningを行い、IPMNの癌化の原因遺伝子の同定を行う。最終的には同定した原因遺伝子を導入することで、syngenic mouseのIPMN癌化を誘導し、経時的に膵臓を回収して、癌化する過程での微小環境の変化を解析することを目的としたscRNA-seq解析までを予定している。
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Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。 IPMN膵オルガノイド作成のための研究用試薬、シングルセル受託解析の費用に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)