2021 Fiscal Year Research-status Report
CCL8によるPD-L2および免疫チェックポイント関連分子発現のメカニズム解析
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21K16452
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡留 一雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (80867200)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CCL8 / 免疫チェックポイント / PD-L1 / PD-L2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では免疫チェックポイントの新たな制御メカニズムを明らかにすることが目的である。TCGAのdatabaseで食道癌におけるPD-L2発現と最も相関していたCCL8に注目し、CCL8による免疫チェックポイント制御機構に関して研究を行った。 食道癌切除標本を用いた多重蛍光免疫染色の結果から、CCL8は癌細胞や線維芽細胞、マクロファージに発現していることを確認した。次にin vitroの実験で食道癌細胞株とヒト末梢血由来マクロファージとの共培養を行うと食道癌細胞株のPD-L1/L2発現が増加することを確認した。しかし、recombinant CCL8を食道癌細胞株のmediumに添加しただけではPD-L1/L2発現に変化を認めなかった。この事から、CCL8が直接的に癌細胞のPD-L1/L2発現を増加させるのではなく、CCL8が影響を及ぼすとされているマクロファージやリンパ球を活性化させることが必要なのではないかと考えている。実際にヒト末梢血由来マクロファージやTHP-1 cell + PMA、Jurkat cellにrecombinant CCL8を投与するといくつかのサイトカインの発現量が上昇し、recombinant IFN-γやIL-4により癌細胞株のPD-L1やPD-L2の発現が上昇することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、CCL8が発現している細胞を同定し、どのような機序で免疫チェックポイント関連分子の制御がなされているのかについても、我々の仮定に間違いがないことを確認した。今後、より詳細なメカニズムの解明並びにvalidationが必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞におけるCCL8発現が多い症例と少ない症例があることが分かっている。in vitroの実験 (サイトカイン投与、低酸素環境、各種共培養実験等)により、どのようなメカニズムでCCL8の発現が増加するのかについて調査する他、食道癌切除検体を用いた免疫染色によりCCL8発現と予後や臨床病理学的因子との関係の他、癌細胞のPD-L1/L2発現や免疫細胞のPD-1発現との関連について検討する。 また現時点ではCCL8が癌細胞におけるPD-L1/L2発現への影響を主に研究しているが、免疫細胞のPD-L1/L2やPD-1等、様々な免疫チェックポイント関連分子の発現への影響についても確認する予定である。そして得られた結果については、マウス癌細胞株を用いてシンジェニックマウスモデルを作成し、in vivoでの検証も予定している。
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Causes of Carryover |
理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。
使用計画:試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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