2022 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌オルガノイドを用いた免疫原性改善と腸管由来樹状細胞との共培養システムの構築
Project/Area Number |
21K16465
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶原 大輝 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60844438)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫原性細胞死 / オルガノイド / 抗癌剤 / カルレティキュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫原性の低い MSS 大腸癌に有効ではないが、FOLFOX療法による免疫原性細胞死 (ICD) 誘導を利用すれば抗 腫瘍効果を得られる可能性がある。しかし、臨床検体では実証されていないため確認する必要がある。 本研究では、まず手術切除検体からヒト大腸癌オルガノイドを作成しFOLFOX療法によりICDが誘導されることを証明する。さらに、腸管由来樹状細胞とヒト大腸癌オルガノイドを共培養させることで、より腫瘍周囲環境に近い条件で腫瘍特異免疫を誘導されることを証明する。 当該年度では、昨年度に引き続き5-FUおよび Oxaliplatin (Oxa) によるICD誘導の検証を行なった。ICDにおいて重要な因子である Calreticulin (CRT) の細胞表面への発現を中心に検証を進めた。大腸癌細胞株はHT29、HCT116 に加え、KM12C、RKOでもCRT発現の検討を進めた。HT29、HCT116で決定した至適暴露時間および至適濃度において検討したところ、KM12C、RKOでも同様に5-FU、Oxa それぞれ濃度依存的にCRTの発現上昇を認めた。 続いて昨年度1例のみだったヒト大腸癌オルガノイドでの免疫組織学的染色による検証を3例に増やし、いずれもCRTが細胞表面へ発現していることを確認した。細胞株同様に、個体によらずある一定の割合で起こりうる現象であることが考えられた。 4種の細胞株および3例のヒト大腸癌オルガノイドで一様にCRTの細胞表面への発現を確認した。これらの結果より、ICDにおけるCRTの細胞表面への発現は細胞種によらずある一定の割合で起こりうる現象であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株における ICD 誘導の条件検討は確立し、オルガノイドでの ICD 誘導も免疫組織学的染色により確認しており症例数は少ないものの順調に進行している。ヒト大腸癌オルガノイドの Flow cytometry による Calreticulin の評価については、ヒト大腸癌オルガノイドを評価するために十分な細胞数の確保に難渋しておりやや遅れている。また、樹状細胞とヒト大腸癌オルガノイドの共培養実験を進める上でヒト大腸癌オルガノイドの凍結融解が必要となるが、凍結融解可能なヒト大腸癌オルガノイドの確保に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト大腸癌オルガノイドを Flow cytometry で評価することが難しく、引き続き適切な方法を模索している。また、凍結融解可能なヒト大腸癌オルガノイドの確保を引き続き進めていく。 一方、細胞株およびヒト大腸癌オルガノイドでの実験より細胞腫に関係なく一定の割合で起こる現象であることが明らかとなった。この事実からICDにおけるCRT誘導機序が解明できる可能性を考え、次世代シークエンサーによる解析を中心に検討を進めている。
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Causes of Carryover |
試薬発注の遅れにより生じた。当該試薬は今年度から次年度にかけての研究計画に組み込まれている。
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