2023 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌オルガノイドを用いた免疫原性改善と腸管由来樹状細胞との共培養システムの構築
Project/Area Number |
21K16465
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶原 大輝 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60844438)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫原性細胞死 / オルガノイド / 抗癌剤 / カルレティキュリン / 大腸癌 / 免疫チェックポイント / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫原性の低い MSS 大腸癌に有効ではないが、FOLFOX療法による免疫原性細胞死 (ICD) 誘導を利用すれば抗腫瘍効果を得られる可能性がある。しかし、臨床検体では実証されていないため確認する必要がある。 本研究ではまず細胞株による5-FUおよび Oxaliplatin (Oxa) によるICD誘導の検証を行なった。ICDにおいて重要な因子である Calreticulin (CRT) の細胞表面への発現を大腸癌細胞株(HT29、HCT116、KM12C、RKO)で検討し、いずれの薬剤でも濃度依存的にCRTの発現が上昇することを見出した。次にヒト大腸癌オルガノイドでの免疫組織学的染色による検証を行い、5-FUおよび Oxaliplatin (Oxa) いずれの薬剤でもCRTが細胞表面へ発現することを見出した。細胞株同様に、個体によらず起こりうる現象であることを見出した。また、5-FUではこれまでCRTの細胞表面への発現誘導は起こりづらいとされていたが、これら一連の研究結果より5-FUでも起こりうる現象であることを見出した。 最終年度では抗癌剤によりCRTが細胞表面に誘導される機序をRNAシークエンスを用い検討した。その結果、抗癌剤投与により共通して発現上昇している4つの遺伝子 (TP53I3、TP53INP1、SMPD1、YPEL3) が抽出され、定量リアルタイムPCRにおいても抽出された4遺伝子の発現上昇を確認した。TP53I3、TP53INP1、YPEL3はp53シグナル伝達経路に関連しており、抗癌剤投与時の細胞ストレス応答を反映しているものと考えられた。SMPD1は小胞体ストレスに関連しており、細胞表面へのCRT発現誘導は小胞体ストレスに伴って起こるため、SMPD1の発現上昇がCRTの細胞表面への発現に関与している可能性が示唆された。
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