2023 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光イメージングによるEMTの克服を軸とした予後不良大腸癌への治療戦略の構築
Project/Area Number |
21K16474
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
矢野 修也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50794624)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高度進行大腸癌 / 分子イメージング / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までには、EMT可視化大腸癌細胞と蛍光間葉系細胞のデュアルイメージングを用い、EMT阻害薬であるグリベックがEMT抑制、間質増生の抑制、化学療法感受性の回復を検証し、仮設通りの結果を得た。また、間葉型大腸癌を効率良く描出できるAIモデルを開発し、HE染色から間質型大腸癌を自動抽出を可能にした。さらにAIが抽出した間質型大腸癌をTCGAを用いてRNAseqで解析したところEMTやTGFbシグナルの活性を認め、このAI間質型大腸癌はEMT型大腸癌に相当することを証明した。 本年度は、5例の切除不能進行再発大腸癌患者でがん性腹膜炎の腹水から初代培養、3例手術症例の腹水から初代培養を行い、大腸癌細胞株のライブラリー化を行った。 これらの細胞群に5-FU、オキサリプラチン、グリベック処理群からTotal RNAを抽出、品質確認後ライブラリー調製後、次世代シーケンサーでRNA-Seqを実施した。DEG解析したところ、ほぼ全ての症例で、化学療法はEMTに関わる因子(VIM、CDH2、SNAI1、SNAI2)、JAK/STAT系の因子、CD44やALDHなどの幹細胞マーカーを上昇させ、グリベックは低下させた。 上記より、間葉型大腸癌は、臨床学的には間質を多く含むスキルス型であり予後が分化型に比べて予後不良であり、分子生物学的には、EMT因子を多く発現している。実際の臨床サンプルを用いた解析でも、化学療法に対してEMT因子や幹細胞因子を発動させて抵抗性を示した。一方、グリベックはこれらの因子を低下させ、化学療法の感受性を回復させたことから、間葉系大腸癌に対してEMT抑制剤として臨床的意義を見出した。
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