2022 Fiscal Year Annual Research Report
免疫制御メカニズムに着目した大動脈弁石灰化発症・進行抑制薬の開発
Project/Area Number |
21K16490
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
立石 渉 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (50722378)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / PD-1/PD-L1 / 免疫チェックポイントタンパク / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁狭窄症(AS)は、大動脈の石灰化により弁が狭窄する疾患である。大動脈弁の石灰化の原因として炎症が関与していることを過去の研究で明らかにしており、今回は感染が関与しているか明らかにするため菌の検出と、免疫細胞や疾患の重症度などの臨床評価との関連を調査した。AS患者50名の手術で切除された大動脈弁の組織で、グラム陰性菌のリポポリサッカライド(LPS)とグラム陽性菌のリポテイコ酸(LTA)を免疫組織化学的に解析した。 さらに、切除大動脈弁における細菌の存在、免疫チェックポイントタンパク質PD-L1の発現、CD8陽性Tリンパ球、CD163陽性マクロファージ、FOXP3陽性制御性T細胞(Treg)などの免疫細胞の浸潤との関係を評価した。切除大動脈弁組織におけるLPSの検出は、切除サンプルにおける間質PD-L1発現、弁石灰化、LTAの存在と有意に関連していた。そして、LPSの存在は、非石灰化大動脈弁ではなく、石灰化大動脈弁においてのみPD-L1の高発現と有意に関連することが示された。さらに、LPSのないASサンプルにおけるPD-L1の高発現は、CD163陽性マクロファージおよびFOXP3陽性Tregの陽性浸潤と有意に関連した。切除した大動脈弁における免疫組織化学的な細菌検出は、PD-L1蓄積および弁の石灰化と関連していた。PD-L1はLPSの存在する石灰化した弁にのみ有意に蓄積していた。 このことから最近による弁の炎症が石灰化に寄与している可能性が考えられた。
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