2021 Fiscal Year Research-status Report
右室心筋におけるヒストン修飾因子「SF3B1」の発現傾向と心不全の可逆性
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21K16491
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉本 愛 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00723941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 右室心筋 / 病理組織検査 / 慢性右心不全 / ヒストン修飾因子 / SF3B1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト虚血性心疾患や心不全心では、心筋細胞での低酸素誘導因子1α: Hypoxia-inducible factor 1α(HIF-1α)の発現亢進が知られている。HIFの活性化は、急性心筋虚血および再灌流障害においては虚血性組織障害に耐える上で、あるいは、心筋が容量負荷あるいは圧負荷に耐える上で重要な役割を果たす。HIF-1αは、ヒストン修飾因子の一つであるSplice factor 3b unit1(SF3B1)の発現誘導を通じてフルクトース代謝を亢進させ、心筋細胞肥大、血管新生、代謝亢進などを生じる。
我々は、2017-2020年に行なった先行研究で、右室流出路に介入を要した先天性心疾患患者の、右室心筋における、SF3B1 の発現状況を病理学的に検討し、その発現の程度と関連する臨床上の指標を明らかにした(引き続き論文作成中)。しかし、疾患や病態のばらつき、および対象群の少なさから、慢性心不全の可逆性・治療が奏功する可能性との関連を検討するには至らなかった。
そこで、当該研究初年度は、まず、対象群の少なさについてを補うことを念頭に、予定手術で右室流出路に介入する患者にインフォームドコンセントを行い、研究参加への同意を得ること、標本の病理組織検査を中心に取り組んだ。現時点で、対象症例数は25例であり、年間20例程度の追加症例を見込んでいたので予定通り進んでいる。最終的には50例ほどの対象群が必要と考えており、引き続き対象群の増加に努める予定である。また、引き続き、作成中の論文について投稿準備を進めると同時に、学術集会に参加し、関連した研究などに関する情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究初年度は、まず、対象群の少なさについてを補うことを念頭に、予定手術で右室流出路に介入する患者にインフォームドコンセントを行い、研究参加への同意を得ること、標本の病理組織検査を中心に取り組んだ。
対象群としては、年間20例程度の追加症例を見込んでいた。現時点で、対象症例数は25例であり、当初の予定通り進んでいる。最終的には50例ほどの対象群が必要と考えており、引き続き対象群の増加に努める予定である。
また、引き続き、作成中の論文について投稿準備を進めると同時に、学術集会に参加し、関連した研究などに関する情報収集に努めた。ヨーロッパ胸部外科学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会などに参加し、右室心筋の病理組織学的検討というテーマで発表している多施設・他大学の研究者と交流でき、新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に関しては、次年度にあたる2022年度に、今ある追加症例の免疫染色を行い、先行研究との整合性を確認することとしている。対象群が増えることで、疾患群でわけた検討が徐々に可能となってくることを見込んでおり、まずは、疾患群別の全体像を把握したいと考えている。
最終的な目標対象群数は50例程度と考えており、対象群の増加に関しては、引き続き、適宜インフォームドコンセントを行っていく。
今年度は、国内学会で少しずつ知見を報告し、外部からの意見をもらって研究のブラッシュアップに努めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額に関しては、コロナ禍により海外での学術発表がweb発表となったため、初年度に予定した旅費が想定より少なかったことが挙げられます。この報告書の執筆時点で、すでに昨年度のからの繰越分は、支出が完了しています。
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Research Products
(3 results)