2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K16524
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山田 侑子 東京医科大学, 医学部, 研究助教 (90748097)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CAF / がん微小環境 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん微小環境のひとつであるがん関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblasts, 以下CAF)を標的とした新規治療を目指している。申請者が改良 した新規miR-29b誘導体を更に改良し、超効率的にコラーゲン発現を抑制することによる肺癌細胞の増殖抑制効果を検討するとともに、将来の臨床応用を目指 し、画期的な極低侵襲投与法としてmiR-29b誘導体噴霧吸入による新規肺癌治療法の開発を目的としている。 本年は、浸潤性肺腺癌におけるCAFの免疫組織化学的検索を行い、CAFマーカーとしてのFascinの有用性と、CAFにおけるFascin陽性細胞と予後不良の相関を見出した。浸潤性肺癌の病理解剖例を対象として、肺癌およびCAFにおけるFascinの発現を解析した。 検討した肺癌症例のCAFにおいて、Fascin陽性染色は全ての症例で観察され、既存のCAFマーカーであるα-smooth muscle actinおよびfibroblast activation proteinと有意な相関が認められた。さらに、Fascin陽性染色を示す腫瘍細胞の割合は、CAFにおける発現と相関があることがわかった。CAFはFascinを発現しており、Fascinは癌細胞とCAFの間のクロストークを媒介する可能性があることが示唆された。Fascinはがん微小環境を標的とした治療法の新規治療標的となり得ると考えた。多数の肺癌症例において、組織学的な形態の特徴と、CAF産生の割合や、Fascinその他の免疫組織学的特徴を多数症例を鏡検し、画像解析を行った。また、体内miR-29b誘導体の安定性向上のための核酸修飾法の検討を行い、O-メトキシ化とフルオロ化を混在させることで、従来の核酸と比較し、ヒト血清内での安定性を100倍以上向上させることに成功した。また、同修飾を施しても遺伝子発現抑制活性に影響を与えないことを確認している。
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