2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K16527
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
本野 望 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30634901)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺癌 / 幹細胞 / スフィンゴリン脂質 / セリンプロテアーゼ / マトリックスプロテアーゼ / Teashirt homolog 2 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜活性物質であるスフィンゴリン脂質の代謝酵素であるSphK1が癌浸潤部およびcancer associated fibroblastに過剰発現していること、SphK1高発現群で予後が不良になる傾向を見出した(Clinical Pathology 2021;14:1-7)。また乳腺幹細胞の自己複製に重要と考えられるGLI1に抑制的に働くTeashirt homolog 2(TSHZ2)と肺腺癌との関係を解析し、TSHZ2の高発現群で細胞増殖が抑制され、予後が良好であることを証明した(Int J Med Sci 2021;18:1980-1989)。 これまでも複数のセリンプロテアーゼインヒビター(serpin)が肺癌で高発現していること、スフィンゴリン脂質の代謝過程で複数のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が高発現し、増殖・浸潤能に影響を及ぼすこと、CD133陽性の癌幹細胞でMMPが高発現していることが報告されているが、治療抵抗性との関係性は不明である。また癌幹細胞がSphK1を過剰発現しているとの報告や、癌幹細胞マーカーであるALDH1陽性細胞株においてS1Pが過剰発現し、増殖が促進すると報告されている。 スフィンゴリン脂質およびserpinを介する肺癌の浸潤・転移能の獲得、さらに幹細胞化の機序を解明するセリンプロテアーゼやマトリックスプロテアーゼの癌幹細胞化への関与を次年度の研究課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セリンプロテアーゼやマトリックスプロテアーゼの癌幹細胞化への関与に関する解析ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
癌幹細胞マーカーであるALDH1、セリンプロテアーゼインヒビターであるserpin、マトリックスプロテアーゼの肺癌における作用機序と癌幹細胞化への関与を評価する。具体的にはそれらの発現を肺癌切除標本で評価するとともに、癌幹細胞マーカー陽性の肺癌培養細胞を用いて、それらの物質の発現を検証する。また、癌幹細胞がTSHZ2で抑制できるかを検証する。
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Causes of Carryover |
受理された論文の掲載料の振り込みが2021年度の締め切り以降となったため、2022年度で支出する。
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