2021 Fiscal Year Research-status Report
特異的B細胞を標的とした肺移植後慢性拒絶反応に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K16529
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
鈴木 大和 藤田医科大学, 医学部, 助教 (40883880)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性移植肺機能不全 / ドナー特異的抗体 / 肺移植 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、肺移植後の慢性移植肺機能不全(Chronic lung allograft dysfunction, CLAD)には、特異的なB細胞が関与していると仮説を立て、研究を開始した。 まず、CLADの動物モデルとして確立しているマウス肺内気管移植モデルを用いて、B細胞がCLADの形成に関与しているかを確認するための実験を行った。同モデルを用いて、移植後28日目にマウスを犠牲死させ、組織学的にB細胞関与の評価を行った。その結果、移植された気管の周囲には第3のリンパ節 (Tertiary lymphoid organ, TLO)を確認でき、それらの大部分はB細胞で構成されていることを確認した。 次にTLOを抑制することで、移植された気管内腔の線維性閉塞、すなわちCLADが抑制されるかを検討した。CTLA4-Igは、T細胞の共刺激シグナルを抑制する製剤であるが、B細胞の活性化を抑制する効果も有する。同モデルに、CTLA4-Igを投与し、移植後28日目にマウスを犠牲死させた。コントロール群と比較して、CTLA4-Ig群はTLOが有意に抑制され、移植された気管内腔の線維性閉塞も有意に抑制された。また、移植された気管を含む肺全体から得られたDNAを用いてreal-time PCRを行い、TLOの形成、移植された気管内腔の線維性閉塞形成のために必要なサイトカイン、ケモカインの遺伝子発現が、CTLA4-Ig群で有意に抑制されていることを明らかにした。 これらの結果より、CLADには確かにB細胞が関与が示唆されることを確認した。結果を、学術論文にまとめ、報告した(Suzuki Y et al. Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery. 2021) 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在はマウス肺内気管移植モデルを用いて、気管が移植された肺より、B細胞を分取する実験を行ってる。同モデルは、組織学的にT細胞やB細胞などのリンパ球を確認することは容易であるが、セルソーティングによって得られるリンパ球数が少なく、続くリンパ球からのRNAの抽出、RNAシークエンスを用いた、特異的B細胞の分生物学的解析に進めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス肺内気管移植モデルからのリンパ球分取の精度を向上、得られるリンパ球数を増加させ、続く解析に進みたい。状況に応じて研究期間の延長も考慮する。
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Causes of Carryover |
次年度以降も実験を継続するため、使用額が生じる。来年度はマウス同所性肺移植モデルでの実験も検討しているため、来年度分に請求した助成金と合わせ、使用する予定である。
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Research Products
(2 results)