2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺がんの代謝ダイナミズム解析から見えてきた特性を標的する新規治療
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21K16531
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
菊池 直彦 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 共同研究員 (90898074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非小細胞肺がん / 代謝 / 標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに得た知見から、肺がんは高いオートファジー活性を有しており、これが腫瘍細胞の生存・ストレス耐性に寄与している可能性がある。また、定説に反し、肺がんではミトコンドリア好気呼吸(TCA/電子伝達系)が、正常組織と比べむしろ亢進しており、これが肺がんのエネルギー戦略を支えている可能性が出てきた。本研究では、それらの代謝特性が、肺がんの新たな治療標的となり得るかを検証するため、種々の取り組みを行った。 前年度の解析において、肺がん腫瘍増殖におけるオートファジーの重要性が判明していた。オートファジーは栄養欠乏状態への生存応答であることから、オートファジー欠損と血管新生阻害との相乗効果について検討することにした。いくつかの非小細胞肺がん細胞(親株、およびゲノム編集によるオートファジー因子ATG7の欠損株)を免疫不全マウスに移植し、VEGF(血管新生誘導性の増殖因子)に対する中和抗体(ベバシズマブ)を投与し、腫瘍レスポンスを観察した。ベバシズマブは、親株およびATG7ノックアウト株の両方で、移植腫瘍の増大を遅延させた。VEGF阻害とATG7ノックアウトとの間に相乗効果があるか否か検討したが、少なくとも、統計的に有意なほどではなかった。その原因として、VEGF阻害の効果に比して、ATG7欠損単独の効果があまりに大きいことが考えられた。そこで、ATG7欠損の効果が比較的穏やかな肺がん細胞株での再実験に着手した。
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