2021 Fiscal Year Research-status Report
心臓外科手術における揮発性麻酔薬による予後改善効果の研究
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21K16535
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田村 高廣 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80612853)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 揮発性麻酔薬 / 心臓外科 / 人工心肺 / 心筋保護 / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究申請の目標である多施設共同研究を実施するための準備段階の研究を進める事が中心となっている。人工心肺開始後~人工心肺の血流量が体表面積に見合った目標流量(full flow)到達まで、一般的には人工呼吸器の呼吸は継続している。麻酔器の吸入麻酔気化器から人工肺に酸素と吸入麻酔薬を吹送する場合、呼吸停止までは吸入麻酔薬は人工肺に吹送できない。full flow到達は5分~10分程度のものであるが、この間にどの程度、吸入麻酔薬血中濃度が低下するかと検討しておく事は、本研究申請の目標である本邦における多施設研究を実施する上で、管理上重要な知見をもたらす。以下の報告で、これを検討した結果を発表した。 Tamura T, Mori A, Nishiwaki K. The equilibrated blood sevoflurane concentrations show a rapid decrease after switching from ventilation for the human lung to cardiopulmonary bypass. Nagoya J. Med. Sci. 2022;84:163-168. 人工心肺側に吸入麻酔器気化器を別途設置して人工肺に吸入麻酔薬を吹送していればもちろん問題ないが、麻酔器の気化器を利用していたとしても、確かに一時的に麻酔薬濃度は下がるが、覚醒するほどまで到達しない。さらに、以下で、本邦における吸入麻酔薬による人工心肺中の麻酔鎮静管理についてまとめた総説を発表した。 Tamura T, Mori A, Nishiwaki K. Safe sedation management using volatile anesthetics during cardiopulmonary bypass. J Anesth.2022;36:287-293.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の目標である多施設研究実施のための基礎となる研究をまず進めており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
短い間隔で採血ポイントで採血した検体のセボフルラン濃度を測定中であり、ヒト肺およびCPB開始直後の血中濃度推移を明らかにし、吸入麻酔薬の保護採用を提供できるよう濃度維持が可能か、人工肺の種類間で差異がないかを検討している。この検討が進めば、多施設研究の準備を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として情報収集のための学会出張に現地参加しなかったことで旅費の発生がなかった。今後の研究推進方針に則って研究を行うことにより、交付額相当の経費が必要となる。
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Research Products
(5 results)