2023 Fiscal Year Annual Research Report
オキシトシンの治療応用を目指した慢性痛の心理社会的要因と生化学的指標との関連研究
Project/Area Number |
21K16537
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松島 淳 佐賀大学, 医学部, 助教 (90773151)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性痛 / オキシトシン / 心理社会的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性痛患者における痛みと心理社会的要因、そしてそこに媒介しているオキシトシンをはじめとする生化学的指標との関連性を明らかにすることを目的としている。 方法としては、佐賀大学医学部附属病院精神神経科、ペインクリニック、整形外科、脳神経内科、歯科口腔外科を受診する患者を対象として、初診時(1回目)と6か月後(2回目)に痛みの程度や心理社会的要因、そしてオキシトシンをはじめとする生化学的指標を測定し、そこで得られたデータを定量的に解析した。 初年度にあたる2021年度では十分な参加協力者数が得られなかったため、2022~2023年度は、リクルートの対象を新患に限定せずに再来患者にも範囲を拡大し、膠原病・リウマチ内科にも協力を要請することで参加協力者の獲得を図った。 最終的な参加協力者は13名、2回目まで十分量のサンプルが得られたのは8名であった(男性1名、女性7名、平均年齢55.9±8.5歳)。8名から得られたサンプルを分析したところ、1回目と2回目の唾液中オキシトシンの量は平均39.7pg/mLから63.6pg/mLにまで増加しており、有意な差が見られた(t(7)=-2.49, p=0.047)。一方で、痛みに関しては感覚的側面や感情的側面などの痛みの多次元的評価法であるSF-MPQ-2を用いて評価したところ、平均101.7から85.3に減少していたが、有意な差は見られなかった(t(7)=1.25, p=2.45)。したがって、痛みの改善とオキシトシンの増加が関連している可能性が示唆されるが、統計学的に分析するにはサンプル数が不足しており、やはり参加協力者のリクルート法に問題があったと考えられる。 今後は参加協力者のリクルート法を再検討し改善しながら調査を継続することで、心理社会的要因との関連も検討することで目的の達成を目指す。
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