2022 Fiscal Year Annual Research Report
セボフルランの敗血症性肝腎障害に対する保護効果、microRNA発現変化の証明
Project/Area Number |
21K16541
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
森田 智教 日本医科大学, 医学部, 講師 (90787649)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 腎保護効果 / 敗血症性腎機能障害 / デクスメデトミジン / ミダゾラム |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNAはタンパク質をコードしない22塩基程度の一本鎖RNAで、標的mRNAに部分相補的に結合し、分解または翻訳を抑制することによりタンパク質の発現を抑制することが知られている。申請者グループは吸入麻酔薬の臓器保護作用の一端を解明するために麻酔薬の肝臓、腎臓の虚血再灌流障害モデルに対して各臓器がmicroRNA発現変化に与える影響を発現アレイによって網羅解析したし、麻酔薬の臓器保護効果の経路にmicroRNAが関与することを示した。 本研究では麻酔薬による敗血症における肝、腎機能障害の保護効果の証明、および保護経路、microRNA発現変化を解析する。敗血症モデルに関してはLPSの腹腔内投与を使用した。デクスメデトミジン、ミダゾラム、プロポフォールなどの静脈麻酔で群間比較を行い腎機能障害の有無を調べた。薬剤間で鎮静度、血圧などの循環動態の有意差は認めず、デクスメデトミジン群では腎障害の増悪、ミダゾラム群では腎保護作用を認めた。腎機能の増悪、保護作用に関しては、デクスメデトミジン群は糸球体および尿細管NFκΒ、pNFκΒ、IKKβ、pIKKα/βの発現が有意に増加し、ミダゾラム群は糸球体NFκΒ、pNFκΒと尿細管NFκBの発現が抑制された。以上のことよりNFκΒ活性化経路の中で、デクスメデトミジンは糸球体および尿細管でIKK複合体の活性化に続いてNFκΒの活性化を亢進することで腎障害増悪を、ミダゾラムは糸球体および尿細管でNFκBの発現を抑制することで腎保護効果をもたらすと考えられた。 今後はこれら腎保護効果の機序に関与するmicroRNAを含む遺伝子の発現変化を検討する。
|