2022 Fiscal Year Research-status Report
IFNβ-1aシグナルと低酸素応答系のクロストークによる肺血管内皮バリア機能制御
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21K16542
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
角 千里 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (00580466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性呼吸窮迫症候群 / interferon β-1a / 細胞間バリア機能 / CD73 / 低酸素誘導性因子 / CD39 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群の治療薬候補として本邦でも臨床治験が行われているInterferon β-1a(INFβ-1a)の細胞間バリア機能への影響を解明することが本研究の目的である。この目的の達成のため血管内皮初代培養細胞,肺胞上皮・腸管上皮由来細胞株を用いて細胞外ドメインがEcto-5'-nucleotidaseを持つCD73分子の発現とそれに依存した細胞間バリア機能維持のメカニズムを細胞生物学・分子生物学・バイオインフォマティクスを統合した手法で解明することが研究の目的であった。 ヒト臍帯静脈内皮細胞、ヒト肺微小血管内皮細胞から血管内皮バリアモデルの形成を試みアッセイ系の構築に成功した。このモデルバリアを用いてINF-α, LPSがバリア機能を阻害することつまり血管の透過性を促進すること、またその透過性の亢進がINFβ-1aにより軽減されるという実験結果を得た。CD73分子の発現をmRNA(qRT-PCR法), 蛋白質レベル(特異抗体を用いたWestern blot法, フローサイトメトリ法)で検出する実験系を確立してINFβ-1aによる誘導を確認した。さらにバリア機能の形成、維持に重要な役割を果たすタイトジャンクションを構成するZO-1, Claudin5, Occuludin, VE-cadherinなどのmRNA発現を調べたところこれらの誘導が観察された。2022年度はさらに次世代シーケンサを援用したRNA-Seqを行い網羅的な遺伝子発現変化を検索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症流行の影響もあり初年度の成果を十分に発展させられず論文化ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
タイトジャンクションを形成する蛋白質であるOccludin、Claudin-5、ZO-1、VE-cadherinの発現を蛋白質のレベルで検討する事に加えて免疫組織染色を用いて細胞内局在を調べる実験を行い論文としての出版を目指す。
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Causes of Carryover |
2022年度の研究進捗が大きく遅れて予算の計画的な執行ができなかった。 このため一年の研究期間の延長申請を行った。最終年度は研究用試薬・消耗品の購入に加え、染色標本作製受託サービスを活用する等、研究目標達成のため適切で計画的な研究費の使用に務める。
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