2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能AIによる腕神経叢ブロックの鎮痛効果と横隔神経麻痺の予測システムの開発
Project/Area Number |
21K16544
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 一貴 山形大学, 医学部, 客員研究員 (90716672)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腕神経叢ブロック / エコー画像 / 機械学習 / 横隔神経麻痺 / 効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腕神経叢ブロック施行時のエコー画像とブロックの鎮痛効果および横隔神経麻痺の有無をAIに機械学習させ、腕神経叢ブロック施 行時のエコー画像から鎮痛効果および横隔神経麻痺の確率を予測するシステムの開発を目的とする。 また、本研究のシステムが開発できれば、腕神経叢ブロック以外の末梢神経ブロックにも応用することができ、さらに若手麻酔科医の教育的な観点からも有用であると考えられる。 本研究は前向き試験として、2021年5月より研究をスタートした。申請当初は山形大学医学部附属病院において実施する予定であったが、諸事情のため、山形県内の別の医療施設において研究を実施している(この実施施設の変更については、当院の倫理委員会で承認された)。対象としたのは、腕神経叢ブロックを施行する上肢・肩の手術を受ける成人で、術前に文書による同意を得られた症例とした。呼吸機能障害や喘息を有する症例や、上肢に解剖学的な異常を有する症例、同意を得られなかった症例は除外した。機械学習のためのデータとして、各症例の腕神経叢ブロック施行時のエコー画像(1症例につき5種類)、術後の鎮痛効果(NRS)および補助鎮痛薬の使用回数などのデータを収集した。横隔神経麻痺の有無については、申請当初は胸部レントゲン撮影で評価することにしていたが、医療被爆の点などから、エコーによる評価方法に変更した(この点についても、当院の倫理委員会で承認された)。 2021年5月から12月までの8か月間で、約75症例からデータを得られた。現在、このデータを用いて中間解析をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要でも記述した通り、当初は山形大学医学部附属病院において研究を実施する計画であった。しかし、麻酔方法の統一が図れない点や対象となる手術の症例数の問題から、山形大学医学部附属病院において研究を実施することが困難であると考えられた。麻酔方法が統一でき、さらに対象となる手術の症例数が比較的多い医療施設が、山形県内に見つかったため、その医療施設において研究を実施することになった。研究計画書では年間30~40症例が対象となると予想していたが、研究実施施設が変更になったため、年間80症例が対象となった。そのため、本研究は、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
中間解析では、最適なバッチサイズやエポック数などを探る目的で、機械学習を繰り返し試みている。75症例では機械学習の結果が安定しなかった。そのため、今後も研究を続けて症例数を増やしていく予定である。
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Causes of Carryover |
山形大学医学部麻酔科学講座は、本研究以前からAIを用いた研究をおこなっており、機械学習に必要な機器がすでに設置されていた。本研究でも、すでに設置してある機器を一部借用させてもらうこともあった。そのため、本研究の予定支出額が小さくなった。 今後は、本研究専用の機器を購入する可能性がある。また、研究実施施設が変更となったため、謝金が必要になる可能性がある。
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