2021 Fiscal Year Research-status Report
敗血症による頻脈性心房細動におけるCRACチャネルの役割
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21K16551
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
日野 秀樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (90881061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 敗血症 / 心房細動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は不整脈の基質を形成する細胞内カルシウム過負荷と関連するCalcium-release activated calcium(CRAC)チャネルを抑制することにより、敗血症によって起こる上室性頻脈の発生が抑制されるか否かを検証することである。そのためにまず、コントロールモデルの確立としてwild typeのマウスにリポポリサッカライド(LPS)を腹腔内投与し、その摘出心をランゲンドルフ装置にマウントし左房からの不整脈誘発ペーシングによりどの程度不整脈が誘発されるかを確認した。しかし、マウスの摘出心をランゲンドルフ装置にマウントした場合、ペーシングとマッピングが現時点で困難であったため、予備実験と同様にラットの摘出心をランゲンドルフ装置にマウントし実験を行った。 LPSの投与量と投与してからの飼育時間を変えてどのプロトコールが至適かを検証した結果、LPS(1.5mg/kg)投与48時間経過したラット摘出心において左房から不整脈誘発ペーシングを行うことでおおよそ60%以上の確率で心房細動、心房粗動など上室性不整脈が誘発されることを確認した。ペーシングプログラムは各ラットのベースの心拍周期よりもやや早いペーシング(S1)を5回行った直後に段階的に短縮したポーズをあけ期外収縮を行う(S2)ことで誘発出来た。 このLPSが投与されたラットを敗血症モデルとして使用することとし、同時にCRACチャネルを投与したラットで同様の実験を行いどの程度上室性不整脈の発生が抑制されるかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの摘出心をランゲンドルフ装置にマウントするデバイスの調達困難と、ペーシングが困難でありランゲンドルフ装置を使用する実験動物をラットに変更したため。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実験の実施が困難だった時期があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
LPSによる敗血症性上室性頻脈モデルにCalcium-release activated calcium(CRAC)チャネル阻害剤を予め投与することで上室性不整脈の誘発頻度が低下することを確かめる。 続いて、各モデルラットから心房筋を単離して電気生理学的な変化を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度に開始する予定であったマウス、ラットからの単離心筋細胞を用いた電気生理学的な実験やカルシウムイメージングは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う研究室使用制限などにより、次年度に開始することになったため助成金の持ち越しを申請した。
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