2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16567
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 望 東北大学, 大学病院, 助教 (10876501)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アレルギー / 抗ヒスタミン薬 / α1受容体拮抗薬 / アナフィラキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
当初マウスに対しCompound48/80を投与しアナフィラキシーを誘発、アナフィラキシーにより生じる体温変化を測定し、体温変化が抑制されることをアナフィラキシー抑制効果として計測する予定であった。マウスに対する薬物投与実験での体温変化の測定実験は、実験条件の検討において、保温マットを用いて外気による体温変化を抑制する、吸入麻酔薬投与を行わず保定器を変えるなど条件検討を繰り返したが、良好な結果を得られていない。 そこでマウスの耳介の厚みをアナフィラキシー発症による組織の浮腫の指標として測定を試みたが、マイクロメーターの圧力で耳の厚みが変化してしまい測定が不安定であった。 次に、Saikosaponin A inhibits compound48/80-induced pseudo-allergy via the Mrgprx2 pathway in vitro and in vivo Nan Wangらの報告に基づき、Compound48/80 の腹腔内投与時の致死率についての検討した。Wang らの報告でのcompound48/80の致死量8mg/dlとしていたが、今回の実験十分な致死率を得られず倍量の16mg/dlを必要とした。α1ブロッカーであるプラゾシンの先行投与が、アナフィラキシーを抑制することによりマウスの致死率を低下させるとの仮定に基づき薬物投与実験を行った。プラゾシン先行投与群、生食投与群、抗ヒスタミン薬として一般的に用いられているフェキソフェナジン投与群を設定したが、いずれの群でも致死率を低下させる効果は認めなかった。抗ヒスタミン薬は人におけるアナフィラキシーショックでの治療では補助的なものとされており本実験ではマウスにおいても同様に救命効果がないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
また当初予定していた体温測定によるアナフィラキシーの評価は、実験条件検討がうまく進まず、α1受容体拮抗薬のアレルギー抑制効果を証明するには至っていない。遺伝子組み換えマウスの導入は、契約書締結段階で繁殖の禁止が契約条件に入っていることが判明し、基礎実験で十分な条件検討に至っていない現段階での導入は、研究費の無駄な浪費につながると判断し延期している。代替評価項目の検索として、組織浮腫を耳介厚計測で判定する実験でも測定が安定せず断念している。他にも薬物投与での致死率低減効果の実験なども行ったがいずれもうまく進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
体温や致死率などマウス生体でのアナフィラキシーにより生じる事象の測定はうまくいっていないため、血中ヒスタミン濃度測定、および腹水から回収した肥満細胞に対しα1受容体拮抗薬投与群と非投与群でのヒスタミン放出量の比較を行い抗アレルギー効果とより有用な薬物について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子組み換えIgE-TNPマウスの導入を計画していたが、契約書締結段階で繁殖の禁止が判明し、繁殖しての使用を想定していたが、繁殖なしでの全数購入では予算オーバーとなること、また基礎実験が順調に進んでおらず現段階の遺伝子組み換えマウス購入は予算の無駄となるため、現在購入は延期した。そして代替となる薬物効果の判定方法の検討中である。 血中ヒスタミン濃度測定試薬や、フローサイトメトリー試薬代などに用いる予定である。
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