2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16567
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 望 東北大学, 大学病院, 助教 (10876501)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アレルギー / 抗ヒスタミン薬 / α1受容体拮抗薬 / アナフィラキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画における、マウスに対してのcompound48/80投与によるアナフィラキシーショック誘発研究は、体温変化を記録しアナフィラキシーショック抑制効果を測定する予定であったが、実験条件検討を繰り返すが良好な結果を得られなかった。そこで組織の浮腫をアナフィラキシーの指標とするため、マウスの耳介の厚みを薬物投与前後で測定する方法を試みたが、マイクロメーターの測定圧力で容易に耳の厚みが変化してしまい再現性を得られなかった。次にcompound48/80 の腹腔内投与時の死亡率の変化をプラゾシン投与群、抗ヒスタミン薬投与群で比較する研究ではいずれの群でも致死率を低下させる効果を認めなかった。そこで、プラゾシン単体での肥満細胞抑制効果は明確な死亡率低減を引き起こすほどの効果はないことも考えられた。そのため再度細胞単体での効果の再確認とその機序の解明に方向性を転換した。マウス腹腔からの肥満細胞の回収量を検討したが、ラットの場合と異なり、肥満細胞以外の細胞の混入が多く肥満細胞単体の回収が困難であった。そのため現在MACS細胞分離技術により肥満細胞の回収を検討している。肥満細胞は、CD117+FcεRIα+ダブルポジティブにマーカーを発現しており、腹水中の細胞サンプルにCD117シングルポジ、FcεRIαシングルポジの肥満細胞以外の細胞が存在するかどうかを免疫染色で確認する必要があり現在抗体購入し完了し免疫染色の準備を行っている。 マウスではFcεRIαは、肥満細胞以外には好塩基球に発現していることが知られており好塩基球はCD49b (DX5)も発現しているため、ラット腹水中での好塩基球の有無も免疫染色で確認予定である。その後にMACSにて肥満細胞を回収しRNAを比較することで細胞内でのα受容体がヒスタミン分泌に与える機序について検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた体温測定によるアナフィラキシーの評価は、実験条件検討がうまく進まず、α1受容体拮抗薬のアレルギー抑制効果を証明するには至っていない。耳介厚測定法も測定方法が安定せず評価には不十分であると考えられた。当初予定していた遺伝子組み換えマウス導入は、契約書締結段階での繁殖禁止が契約に含まれており、基礎実験で十分な条件検討に至っていない現段階での導入は研究費の浪費につながると判断し中止している。またアナフィラキシーの死亡率低減を測定した実験では死亡率低下を得ることができず、抗アレルギー効果としては死亡率に与える影響は低く、もっと弱い効果であることが推定された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定の評価法がうまくいっていないため、MACS細胞分離技術での純粋な肥満細胞の回収に向けての条件検討を行っている。肥満細胞の薬物投与前後でのRNAの変化を測定することでの細胞内での脱顆粒抑制の機序の解明に向けて検討を行う予定である。また腹水から回収した肥満細胞にプラゾシン以外のα1受容体拮抗薬を投与した群と非投与群でのヒスタミン放出量についても比較を行い抗アレルギー効果のより強い薬物について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子組み換えIgE-TNPマウスの導入を計画していたが、契約書締結段階での繁殖の禁止が判明し、繁殖しての使用を想定していたが、繁殖無しでの全数購入では予算オーバーとなること、また実験条件の検討が順調に進んでおらず現段階での遺伝子組み換えマウスの購入は予算の無駄となるため購入を中止した。代替となる薬物効果の検討法としてMACS細胞分離回収システムでの肥満細胞回収法の費用やヒスタミン濃度測定試薬等で使用予定である。
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