2021 Fiscal Year Research-status Report
好中球NETsを標的とした敗血症の新規治療法確立のための基礎的研究
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21K16577
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高井 淳 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (90813890)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | BACトランスジェニックマウス / ヒスタミン / HDC / ヒスチジン脱炭酸酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は感染症を基盤とする全身性の炎症疾患であり、その病態には好中球細胞外トラップ(NETs)が関与するが有効な治療法はない。研究代表者はヒスタミン産生細胞可視化マウスを解析する過程で、従来は単一の細胞系列と考えられてきた好中球が、“ヒスタミン高産生好中球”と“通常の好中球”の2つのサブタイプに分類できること、ヒスタミン高産生好中球が敗血症モデルマウスの肺と末梢血へ集積することを発見した(Takai et al, Sci Rep. 2019)。本研究では、ヒスタミン高産生好中球がNETsを介して敗血症病態を増悪させる可能性を明らかにすること、ヒスタミン高産生好中球を特異的に除去する方法を開発することで、敗血症の新規治療法の分子基盤を確立することを目的として研究を行った。 本年度では、研究計画に記載されているヒスタミン高産生好中球特異的な表面抗原を明らかにすることに主に焦点を当て解析を行った。ヒスタミン高産生好中球と低産生好中球の遺伝子発現パターンに違いがあるかどうか調べるために、これらの細胞をフローサイトメーターで採取し、RNAシーケンス解析を実施した。その結果、主成分解析の結果からGFP陽性ヒスタミン高産生好中球とGFP陰性ヒスタミン低産生好中球の集団が離れた座標に存在していた。これらの結果から、ヒスタミン高産生好中球特異的な表面抗原があることが予想された。今回の結果は未刺激時の好中球を用いた結果であった。その一方で、好中球は敗血症などの細菌感染に起因する重篤な炎症状態においても病態に関与する。そこで、敗血症のモデルマウスである盲腸結紮穿刺により多菌性腹膜炎を誘導し、腹腔内に浸潤した好中球の解析も検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたように、RNAシーケンス解析を実施し、主成分解析の結果からGFP陽性ヒスタミン高産生好中球とGFP陰性ヒスタミン低産生好中球で遺伝子発現パターンが異なることがわかった。実際に有力な発現パターンの違いを示す表面抗原を得ており、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果は未刺激時の好中球を用いた結果であった。その一方で、好中球は敗血症などの細菌感染に起因する重篤な炎症状態においても病態に関与する。そこで、敗血症のモデルマウスである盲腸結紮穿刺により多菌性腹膜炎を誘導し、腹腔内に浸潤した好中球の解析も検討する。
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Causes of Carryover |
3月に起きた地震や風邪症状で自宅待機などが年末にあったため、年末に研究に取れる時間が予想よりも少なく、物品の発注が減ってしまった。 次年度は上記のようなことがないことを祈りたい。
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