2023 Fiscal Year Annual Research Report
好中球NETsを標的とした敗血症の新規治療法確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
21K16577
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高井 淳 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (90813890)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | BACトランスジェニックマウス / ヒスタミン / HDC / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は感染症を基盤とする全身性の炎症疾患であり、その病態には好中球細胞外トラップ(NETs)が関与するが有効な治療法はない。研究代表者はヒスタミン産生細胞可視化マウスを解析する過程で、従来は単一の細胞系列と考えられてきた好中球が、“ヒスタミン高産生好中球”と“通常の好中球”の2つのサブタイプに分類できること、ヒスタミン高産生好中球が敗血症モデルマウスの肺と末梢血へ集積することを発見した(Takai et al, Sci Rep. 2019)。本研究では、ヒスタミン高産生好中球がNETsを介して敗血症病態を増悪させる可能性を明らかにすること、ヒスタミン高産生好中球を特異的に除去する方法を開発することで、敗血症の新規治療法の分子基盤を確立することを目的として研究を行った。 前年度までに、ヒスタミン高産生好中球と低産生好中球のRNA-seq、敗血症のモデルマウスである盲腸結紮穿刺により多菌性腹膜炎を誘導し、腹腔内に浸潤した好中球の解析を行なった。これらの実験から、ヒスタミン高産生好中球はLPS誘導による一過性の細胞ではなく、別の細胞群として存在することが考えられた。 本年度は、ヒスタミン高産生好中球で遺伝子発現が高い遺伝子群として、IL6と転写因子GATA2等を同定した。次に、GATA2がヒスタミン高産生好中球の分化や機能に影響を与えるかどうか解析するために、GATA2ヘテロ欠損マウスとHDC-GFPマウスを交配させた。その結果、HDC-GFP陽性のヒスタミン高産生好中球の割合等は野生型マウスと比較して変化はなかった。今後は、好中球特異的CreマウスとGATA2のFloxマウスを交配させ、好中球のみでGATA2を欠損させる必要があると考える。
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