2022 Fiscal Year Research-status Report
四次元呼吸ダイナミックCTによる自発呼吸関連肺傷害の把握と呼吸管理への応用
Project/Area Number |
21K16594
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
方山 真朱 自治医科大学, 医学部, 講師 (70645704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 4D-CT / 四次元呼吸ダイナミックCT / 自発呼吸誘引性肺傷害 / 人工呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人工呼吸管理中の患者において自発呼吸中の換気動態を四次元呼吸ダイナミックCT (4D-CT)を用いて解析した、斬新な臨床研究である。本研究では、まず4D-CTの精度検証を証明するために、人工呼吸器の換気情報とelectrical impedance tomography(EIT)のインピーダンス情報を用いて位相検証を行った。結果、4D-CTによる位相精度は非常に高く、空間解像度も高く保たれることが判明した。これにより、4D-CTは人工呼吸中の換気動態を正確に評価できる検査であることが確認された。 次に、4D-CTを自発呼吸中に撮影してみると、自発呼吸により胸膜や横隔膜が様々な異常所見を呈することを発見した。通常、自発呼吸により肺は膨らみ横隔膜が下方に収縮するが、逆に奇異性に運動する所見を認めた。この現象は今まで人工呼吸中の患者では注目されていなかった所見であり、集中治療領域で高く注目されるようになった。次に、今まではEITでしか観察できなかったpendelluft現象を4D-CTで観察することが可能となった。これにより、EITの低い空間解像度ではわからなかった解剖学的変化をCTの特徴である高い空間解像度で解析可能となったことから、pendelluft現象をはじめとする自発呼吸関連肺傷害の病態解析に大きく寄与することが期待される。これらの研究結果は、様々な学会で注目されており、シンポジウムや教育セッションをはじめとする招待講演として発表を行なっている。 本研究期間を1年間延長することで、さらに様々な視点で解析を進めていく予定である。本研究により、自発呼吸関連肺傷害の病態解明が可能となり、得られた解析結果から新たな肺保護換気を提唱することが期待されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究結果は、2023年3月時点で、論文1本、学会発表6回 (シンポジウム 2回, 教育セッション 1回, パネルディスカッション 1回, 一般演題 2回)で公表した。 自発呼吸中に4D-CTで片側の横隔膜が奇異性運動を認めた症例報告が、2022年にAmerican Journal of Respiratory and Critical Care誌で掲載されている。また、自発呼吸による横隔膜の両側異常運動を呈した症例報告をAmerican Journal of Respiratory and Critical Care誌に投稿し、2023年3月末時点で査読中である。自発呼吸による胸膜の奇異性運動を呈した症例についても、American Journal of Respiratory and Critical Care誌に投稿し、2023年3月末時点で査読中である。次に、4D-CTの位相精度をelectrical impedance tomographyと人工呼吸器データを用いて検証した臨床研究を行った。結果、4D-CTの位相精度は非常に高いことが判明し、EITよりも高い空間解像度を有することが判明した。本研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care誌に2023年3月末時点で投稿準備中である。さらに、自発呼吸中のpendelluft現象を4D-CTで検証することに成功しており、現在数十症例で検証を進めている。本年度中には研究結果を医学誌に投稿する予定である。 また、横隔膜の回旋運動を4つのフェノタイプに分類した研究結果を、2023年9月にバルセロナで開催予定の国際学会(1st Jordi Mancebo PLUG Physiology Symposium)で発表する予定である。 新型コロナウイルス感染症により、やや進捗状況が遅れたものの、研究結果の発表を順次行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症により、やや進捗状況が遅れたものの、順調に研究結果が得られている。さらに多角的な視点で解析を進めていくことを予定している。今回得られた知見をもとに更なる臨床研究を計画し、あらたな質の高い肺保護換気に活かすことを目標とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響で、本研究期間を1年間延長した。論文投稿費や英文校正費として予算執行を予定している。また、2023年9月にバルセロナで開催される予定の国際学会に参加するための旅費として使用することを計画している。
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Research Products
(7 results)