2022 Fiscal Year Research-status Report
新規のレドックスインジェクタブルゲルを併用した急性期脳損傷に対する再生医療
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21K16601
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 利英 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50881562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フリーラジカル / 活性化酸素 / 頭部外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷性脳損傷は死亡および身体的・精神的後遺症が残存する確率が高く社会に及ぼす影響が大きい。外傷性脳損傷に対する細胞治療は幹細胞移植研究が中心であるが、慢性期は活性化したアストロサイトやミクログリアによる瘢痕組織により移植細胞の生着は困難である。一方、急性期においては、フリーラジカル・活性酸素が生じ、幹細胞移植には劣悪な環境が生じるため、細胞治療の確立には至っていない。したがって、急性期幹細胞移植の確立にはフリーラジカル・活性酸素の制御が課題である。申請者は新規のフリーラジカルスカベンジャーであるレドックスナノ粒子をマウス急性期頭部外傷モデルに静脈注射することで、損傷脳のフリーラジカルが抑制され良好な転帰を得たことを報告した(Takahashi T et al. J Trauma Acute Care Surg.2020)。さらにレドックスナノ粒子からなるレドックスインジェクタブルゲルを開発し、脳損傷部にレドックスナノ粒子を効率的に直接投与することが可能となった。同技術を用いることでフリーラジカル・活性酸素を制御した環境下での、外傷性脳損傷急性期に対する幹細胞移植治療の研究を実施する。 一方、Embryonic Stem Cell(ES細胞)はE-Cadherinを介して細胞の未成熟維持に寄与すると考えられており、これにより移植細胞の成熟度を調節し、移植細胞の生着・増殖を促すことができる可能性もある。逆にN-Cadherinは神経細胞の移動・遊走と成熟に重要な役割を果たし、これにより移植細胞の生着後に神経細胞の増殖を促すことができる可能性もある。ヒト歯髄幹細胞(Dental Pulp Stem Cell; DPSC)は神経堤に由来し、多能性で高い自己複製能と増殖能を有する。本研究では、間葉系細胞である歯髄幹細胞でE-Cadherin抗体およびN-Cadherin抗体を利用した細胞成熟コントロールの可能性も検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Embryonic Stem Cell(ES細胞)はE-Cadherinを介して細胞の未成熟維持に寄与すると考えられており、E-Cadherinを移植細胞と同時に投与する研究も行なう予定である。
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Causes of Carryover |
他の助成金も使用して研究したため。
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