2021 Fiscal Year Research-status Report
脳動脈瘤の発生と破裂に対する腸内細菌叢の老化が与える影響の解明と新規治療法の探索
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21K16608
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角野 喜則 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (60770675)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 腸内細菌 / 破裂脳動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画の初年度として、基礎研究では動物モデルの作成及び安定化に重点を置き実験を行った。当初くも膜下出血モデルは脳動脈瘤の誘発、破裂モデルを用いる予定であったが、手技が煩雑であり、また手技により動脈瘤の発生率などに影響を及ぼす可能性が高いこと、尚且つ長期の飼育及び観察が必要となることから、prechiasmatic injectionモデルへと変更し実験を行っている。このモデルでは頭部の定位固定装置を使用しくも膜下腔に血液を注入するが、定位装置の故障、穿刺針による頭蓋底の貫通や、くも膜下出血直後の死亡などの問題によりモデルの作成にかなりの時間を要した。現在では安定してくも膜下出血を作成でき、直後の死亡も減少し24時間後の状態評価が可能となった。また抗生剤投与、便移植、基本的なEBI評価などの手技についても訓練し習熟させた。 次年度からは老年マウス(18-20ヶ月齢)を導入し、まずは老年マウスの腸内細菌叢収集、評価及び老年マウスに対するくも膜下出血導入後の早期脳損傷の状態について、若年マウスと比較しながらの評価を開始する予定である。その後、老年マウスに対する抗生剤投与を行った上で便移植を行い腸内細菌叢を変化させ、くも膜下出血を導入した際の早期脳損傷の違いについて検討を行う予定としている。 また、並行して行っている臨床研究では、外来での未破裂動脈瘤患者における便検体回収、及びくも膜下出血患者の便検体回収を継続して行っており、検体数がまとまった段階で追加の細菌叢解析を行うべく、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスのくも膜下出血モデル作成、抗生剤投与、便移植などの手技を安定させ、sham群との神経学的スコア、EBIの違いについて評価を行っている。また、くも膜下出血導入24時間後の脳組織については免疫染色を行い、くも膜下出血モデルにおける脳実質の炎症性変化についても様々な抗体で評価するなど予定通り研究は進行している。 臨床研究面では、患者の便検体の回収が130例程度まで進んでおり、引き続き検体回収を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた実験に加え、くも膜下出血後、加齢に伴う重症度の変化はいかなるメカニズムで生じるのか、最新の文献情報や学会の参加なども踏まえ様々な観点からのアプローチを模索し評価していく。 今後も基礎研究と臨床研究を並行することで、それぞれに生じた疑問点や新たな知見を互いに反映させながら、研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響、実験施設の建て替えなどもあり、動物実験が十分にできなかったこと、出張旅費が発生しなかったことによる。
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