2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of video analysis based artificial intelligence for hemifacial spasm care
Project/Area Number |
21K16623
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 康裕 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80899310)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | hemifacial spasm / artificial intelligence / motion analysis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、患者痙攣発作時の顔面のビデオ映像解析を行うことにより、片側顔面痙攣における複雑かつ多様な表情筋の動きを客観的かつ定量的に分析し、本疾患の診断補助や治療効果判定、治療最適化の一助に応用することである。令和4年度は、顔面表情筋の動き解析法の確立のための予備的研究を実施した。倫理委員会承認手続き後、患者の同意のもと、片側顔面痙攣患者30名(そのうち、微小血管減圧術後患者4例)、眼瞼痙攣患者2名の正面より撮影した痙攣時のビデオ映像記録を採取・取得した。 22種類もの顔面表情筋の解析を行いうるマーカー設定部位に関し、映像を詳細に検討して適正化作業を実施し、手技の確立を得た。また、内眼角、外眼角、口角、鼻翼部などの顔面の特徴的な解剖学的部位に関しては、マーカーを用いない動作解析の予備的検証を行い、実現可能性が証明された。片側顔面痙攣症例のうち20例では筋電図上の痙攣波が確認されており、現在、動画解析ソフトウェアMove-tr/2D(Library社)を用い、筋電図波形と動画解析ソフトウェアを用いた顔面の各部位の動きの相関関係を調査中である。同時に、深層学習アルゴリズムDeepLabCutを用い、顔面の特徴部位やマーカー設置部位の静止画像の教師データを作成し、自動化された映像解析のための深層学習強化が進行中である。 A型ボツリヌス毒素注射、微小血管減圧術や抗けいれん薬投与などの治療介入後の有害事象発生の要因検証や、治療効果判定への有用性の検証行うため、患者の臨床データを収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、研究ミーティング回数の減少、患者受診制限に伴う要因により、データ収集および解析にやや遅れが生じていたが、目標症例数に果たしつつある。映像解析は現在進行中であり、これの進行により遅れを取り戻すことは可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
22種類の表情筋の解剖より想定される顔面表面の部位の定点追跡を行い、移動距離、速度、けいれんの周波数の測定などを行う。定点間の相互的・相対的な位置関係の変位にも注目し、それぞれの定点間を結んだ線・図形の動き解析も実施する(距離、角度変化、面積変化など)。健常協力者の表情の解析、前述の片側顔面痙攣と鑑別を要する疾患群との比較検証により、片側顔面痙攣に特徴的な病的運動のパターンを同定する。筋電図測定した症例に関しては、この所見と比較することにより、筋電図波形と顔面の各部位の動きの相関関係を調査することで、診断精度検証を行う。 令和5年度は、治療効果判定への応用も開始する。A型ボツリヌス毒素注射、微小血管減圧術や抗けいれん薬投与などの治療介入後は、従来型の効果判定尺度に加え、顔面の映像解析を実施することで、有害事象発生の要因検証や、治療効果判定への有用性の検証行う。A型ボツリヌス毒素注射の注射部位、投与量のデータに加え、患者情報として年齢や性別、罹患期間、他の治療歴などをデータ抽出し、治療効果との因果関係を網羅的に検証する。微小血管減圧術を実施した症例においては、手術所見より、責任血管、顔面神経への圧迫部位、圧痕などの有無や程度、神経減圧の方法などのデータ抽出も実施し、解析要因に加える。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、データ保存用高容量ハードディスク分が、未使用であったため、次年度使用額が生じた。また、新型コロナウィルス感染により学会がWEB開催になることが多く、旅費がかからなかった。令和5年度は、主に学会旅費などで成果発表をしていく方針である。
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