2021 Fiscal Year Research-status Report
大腿骨壊死に対するFGFR3シグナル活性化による骨形成の検討
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21K16651
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大澤 郁介 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40822812)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腿骨頭壊死 / FGFR3 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
指定難治性疾患である大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の一部が血流の低下により壊死が起こることで大腿骨頭の圧潰を来し、疼痛により日常生活に大きな支障を来す。Fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3)は骨伸長のネガティブレギュレーターであり、FGFR3シグナルが大腿骨頭壊死症の治療ターゲットになる可能性を探るための基盤となる研究を行っている。軟骨無形性症(Ach)マウスモデル及び野生型マウスにおいて大腿骨顆部壊死手術モデルを作成し、壊死部の骨形成能を検討した。術後一定期間後にマイクロCT撮影し野生型マウスと比較することで一旦壊死に陥った骨端の骨形成能を評価した。術後2、4、6週におけるマイクロCTによる評価については6週において野生型マウスと比較してAchマウスでは骨端圧潰が有意に少ない結果であった。組織学的検討はTUNEL染色による骨壊死細胞の評価やHE染色においても骨壊死の代表的な所見であるempty lacunaeによる評価を行った。TUNEL染色による壊死した領域を経時的な評価については4週及び6週の時点で有意にAchマウスモデルは野生型マウスと比較して、TUNEL陽性細胞の減少を認めた。empty lacunaeによる壊死した領域を経時的な評価においても同様であり、4週及び6週の時点で有意にAchマウスモデルは野生型マウスと比較して、empty lacunaeの減少を認めた。以上より恒常的なFGFR3シグナルにより虚血に陥った組織の骨再生プロセスに影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
恒常的なFGFR3により骨壊死に陥った組織が骨再生が認めるという仮説のもとに研究を開始した。これまでの研究結果により画像的にも組織学的にも、Achマウスモデルは野生型マウスと比較して、大腿骨顆部壊死の良好な骨再生プロセスを認めており、当初の予定したものと同等な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロCTによる画像評価及びTUNEL染色による壊死領域の組織学的評価においては仮説通りにAchマウスで良好な骨再生プロセスを認めている。今後は破骨細胞及び骨芽細胞がどのように壊死再生プロセスに影響をしているかを検討する予定である。また血管新生なども骨再生プロセスに影響をしていると考えられ、PCRなどにより分子学的な評価を追加で行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由として当初の予定よりもCT画像解析の価格が低かったためである。今後の使用計画としては組織学的検討やPCR検査を検討しており、そのために組織切片の依頼や抗体抗原の購入に使用する予定である。
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