2022 Fiscal Year Research-status Report
最適な濃度の抗菌イオンを徐放し、優れた骨形成促進作用を有するインプラントの開発
Project/Area Number |
21K16653
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥津 弥一郎 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70887661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 銀イオン / ストロンチウムイオン / チタン金属 / 機能性インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究ではチタンインプラント表面に骨形成促進作用を持つSrイオンと抗菌性を持つAgイオンを担持させる処理を行い、各種濃度のAgイオンを徐放させるインプラント群において抗菌性や骨結合性、毒性、作用機序などを明らかにしていく。 In vitroにおける抗菌性はAg濃度依存性に抗菌性を認めており、当初の予測した通りの結果を得ている。感染症において最も多い菌種である、黄色ブドウ球菌で同結果を得ており、他の菌種でも行うか検討している。インプラント上での細胞培養における毒性評価・骨分化評価ではAg担持処理にて細胞活性低下、骨形成関連タンパク発現の低下を認め、同部では想定外の結果を得ている。 In vivoにおける抗菌性評価は、結果が安定せず、今後実験条件など再検討していく。ラットへのインプラント埋入による動物実験ではインプラント・骨結合性はAgイオンが高濃度担持したインプラントであっても骨結合性の低下は認めていない。高濃度Ag担持インプラントの周囲組織は壊死組織・毒性を示唆する組織は認めていない。現時点では1mM、5mMが最適な処理濃度の有力候補となっている。 また、in vivoにおける抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価法の確立については上記動物実験における抗菌性の結果を得てから実施予定である。 また、現時点までの研究結果を、学会・研究会で発表を計3回行ったが、論文、書籍などでの発表はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進捗程度としては50%程度であり、順調に経過している。 ①in vitroにおける抗菌性評価:順調に経過しており、Ag濃度依存性に強い抗菌性を示しており、良好な結果を得ている。②細胞実験における骨形成性・毒性評価:Ag担持により細胞活性低下を認めている。骨分化・骨形成性評価ではAg担持によって、骨形成関連タンパクの発現の低下を認めている。③動物実験における骨結合性評価(力学・組織評価):順調であり良好な結果を得ている。Ag濃度が最も高いインプラントにおいて有意なAgイオンの血中濃度上昇を確認しているが、上昇の程度は著明なモノではなく、想定の範囲内である。インプラント周囲組織の評価では高濃度Agインプラントでも明らかな壊死組織・有毒性などは認めていない。④動物実験における抗菌性評価:感染成立に個体差の影響もあり、安定した感染成立に菌濃度の調整など行い、再評価を行っていく。 ⑤in vivoでの抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価:未実施。 ②③において(in vivo/in vitro)毒性の程度に解離が認められる。細胞実験と動物実験の限界と言えるかもしれないが、この解離についても今後実験・考察していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
想定外の結果を得ているものとして、インプラント上で培養した骨芽細胞における毒性評価・骨形成評価がある。 細胞における毒性はAgイオン濃度が低いものでも少し認めているが、動物実験においては高濃度Agイオンでも明らかな組織毒性の所見は認めていない。In vitroとin vivoでの結果の解離を認めており、安全なインプラント作成における今後の課題である。具体的には動物実験におけるSr/Agイオン血中濃度測定や同元素の組織濃度の評価なども検討していく。 今後実施予定・未実施の実験として、動物実験における抗菌性評価、「in vivoにおける抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価法の確立」の実験がある。 動物実験における抗菌性評価は個体差による感染成立の不安定さがあり、安定した結果を得るのに時間を要している。菌濃度・菌液量の調整などを調整し、安定した結果を得るための検討を重ねている。 In vivoにおける抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価法の確立についてはin vivo、in vitro両者において安定的な結果を得る必要があるが、上記記載の通り評価法の再検討を繰り返していく必要がある。
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Research Products
(1 results)