2021 Fiscal Year Research-status Report
The biology in the medial meniscus posterior root tear under the hyaluronic acid stimulation
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21K16656
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平中 孝明 岡山大学, 大学病院, 医員 (60847846)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内側半月板 / 後根断裂 / 生物学的特性 / プロテオグリカン / SLRPs / TGF-β1 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子ロイシンリッチプロテオグリカン(small leucine-rich proteoglycans, SLRPs)はコラーゲン線維の修復やリモデリングに重要な役割を果たしており、軟骨細胞や半月板の恒常性維持に関与する。また内側半月板後根断裂(medial meniscus posterior root tear, MMPRT)は内側半月板(medial meniscus, MM)の機能不全を引き起こし、膝関節の退行性変化を急速に悪化させる。本研究では、MMPRTによるMM後角部でのSLRPsの発現について検討した。骨軟部腫瘍もしくはMMPRTで人工膝関節置換術を施行し、本研究に同意を得た患者からMMを採取し、それぞれcontrol群(n=5)、MMPRT群(n=5)とした。組織学的評価としてMM後角部をsafranin Oで染色した。Image Jを用いて赤色輝度値(R/B value)を算出し、赤染性を評価した。またMM後角細胞を分離培養し、リアルタイムPCRによりDecorin, Biglycan, Fibromodulin, Lumican, KeratocanなどのSLPRsおよびSLRPsの発現に関与すると考えられるTGF-β1のmRNA発現量を2群間で比較した。MM後角部におけるR/B valueはMMPRT群で有意に高値であった(control群: 0.7, MMPRT群: 19.1)。培養半月板細胞の遺伝子発現においては全てのSLRPsにおいてMMPRT群で発現が高く,Fibromodulin (4.1倍), Lumican (4.4倍), TGF-β1(3.2倍)で有意に高値であった。MMPRT受傷後のMM後角部半月板細胞ではSLRPsの発現が増加していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に必要な半月板のサンプルを比較的早い段階で患者の同意を得た上で一定数確保できた。また実験の試薬や機材の購入も円滑に行うことができた。指導医と実験で得られた結果やその後の方向性についてディスカッションを重ね、円滑に実験を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
過去に様々な細胞においてTGF-β1とSLRPsとの関連について報告されているが、半月板細胞におけるその関連性は報告されていない。今回の研究でMMPRTにおいてMM後角細胞におけるTGF-β1とSLRPsの中の特にFibromodulin, Lumicanの発現増加が確認されており、それらの関連性について検討していく予定である。さらにTGF-β1に影響を受けるScleraxisやSMAD2/3などの転写因子の関与についても検討していく予定である。これらの検討は内側半月板後根断裂領域の生物学的特性の解明や断裂メカニズムの解明につながる可能性が示唆される。
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Causes of Carryover |
本年度は半月板細胞におけるプロテオグリカンの発現解析にかかる費用について予定より節約できたために、次年度使用額が生じた。次年度に実施予定であるプロテオグリカン発現の作用機序の解明に必要な物品費等に充当する予定である。
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