2022 Fiscal Year Research-status Report
the study of cartilage metabolism controlled by hyperthermia focusing on the circadian clock
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21K16661
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
大久保 直輝 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60816578)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内時計とは、PERやBMAL1などの複数の時計遺伝子によって構成される分子機構のことを指し、体内に自律的な約24時間周期のリズムをもたらす。この体内時計が軟骨に存在し、体内時計の破綻が、変形性関節症の誘因となることがすでに明らかにされている。 本研究では、時計遺伝子(PER2遺伝子)に発光レポーター(Luciferase遺伝子)を挿入し、体内時計の状態を発光量の変化として可視化できる体内時計レポーターマウスを使用した。このマウスから採取した大腿骨の器官培養を行った。 発光顕微鏡による観察で、成長軟骨板、関節軟骨で特に体内時計の発現を強く認め、軟骨の体内時計を観察する実験系として適切であることを確認した。つづいて、経時的発光観察下に温熱刺激を与えると、発光リズムが変化することが明らかになった。この変化は、温度変化が大きいほど、また、温熱刺激時間が長いほど、明瞭な変化が観察された。この結果から、軟骨の体内時計が温熱刺激によって状態(時刻)を変化したことを意味し、温熱刺激によって体内時計の状態を調節できる可能性が示唆される。さらに、温熱刺激は、発光リズムの振幅を増加させることが明らかになった。温熱刺激は軟骨代謝の促進や軟骨細胞の保護をもたらすとされるが、この結果も軟骨代謝を活性化したことを示している可能性がある。今後、温度や刺激時間を考慮することで温熱療法がより効果的な治療につながる可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温熱刺激が軟骨体内時計の時刻変化をもたらすことを明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大腿骨の器官培養における温熱刺激を時間、温度を変えて経時的発光量測定を行うことで、軟骨の体内時計に与える影響をより詳細に評価していく方針である。 それらの結果を考慮し、軟骨細胞における代謝への影響を細胞レベルで検討していく方針である。
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Causes of Carryover |
昨年度は器官培養を中心に施行した。本年度は細胞レベルでの検討も進めていく方針であり試薬等の購入に使用する方針である。
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