2023 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎関節炎モデルマウスを用いた体軸性関節炎および脊椎強直の病態解明と新規治療開発
Project/Area Number |
21K16674
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉山 拓也 東北大学, 大学病院, 助教 (00844276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊椎関節炎 / JAK阻害薬 / SKG/jcl(SKG)マウス / 脊椎強直 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎関節炎は体軸性関節炎と末梢関節炎をきたし、脊椎強直や破壊性末梢関節炎によりADLを著しく障害する進行性疾患である。SKG/jcl(SKG)マウスはβ-1,3-glucan(Curdlan)を腹腔内に投与することにより脊椎関節炎と類似の病変を発現するモデルマウスとされる。このマウスに対する薬剤治療により脊椎強直を抑制し得た報告はこれまでにない。そこで、8週齢、10週齢時にSKGマウスに対してCurdlanを使用して関節炎、脊椎炎を誘発させ、治療群に対して11週齢からJAK阻害剤(Baricitinib)をジメチルスルホキシド( DMSO )に溶解して投与することで治療を行い、コントロール群と比較し検討した。腹腔内投与、経口投与を試したが関節炎抑制の効果は不十分であった。また、椎体炎および仙腸関節においても組織学的な差異が認められなかった。そこで、2023年度からAlzet浸透圧ポンプを使用して皮下に持続投与する方法に切り替えて再実験した。治療群(n=9)とコントトロール(Ctl)群(n=11)で比較し、関節炎スコアにおいてブースト開始後5週から18週において計測し有意差を認めた(p=0.007)。また、左右の足関節の病理学的スコアにおいても、有意差を認めた(p=0.02, p<0.001)。コントロール群には前縦靭帯周囲に炎症細胞の浸潤と骨破壊が認められ脊椎炎が生じていたが、治療群では改善しており、現在スコアリングして統計学的に検討中である。椎体周囲の強直の進行についてCTを撮影して検討したが、コントロール群の少数のみに強直進行がみられたのみであり、統計学的に比較するのは困難であった。n数の不足、観察期間の不足が原因として考えられる。現在、血清中のサイトカインの測定の追加、組織学的には免疫染色を追加して検討を行い、雑誌への投稿の準備を進めている。
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Remarks |
治療薬であるBalicitinibの投与方法を確立するまでに問題が多く発生し、最終的なAlzet浸透圧ポンプを使用して皮下持続投与する方法を用いたデータを収集開始したのが2023年度に入ってからであった。そのため未だ発表や投稿に至っていないが、現在得られたデータを解析、さらに追加実験を行うことにより投稿に向けて準備をおこなっている段階である。
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