2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土肥 透 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60830536)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 後縦靭帯骨化症 / 骨密度 / 骨強度 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
後縦靭帯骨化症は過去の報告の多くでは骨密度が高い傾向にあるとされている。一方で2重エネルギーX線吸収測定法 (DXA)による骨密度の評価は2次元的な骨評価となり、体格や骨棘などの影響を受けやすいという問題が指摘されている。骨質を考慮した骨強度の正確な評価が必要であると考えられ、今回後縦靭帯骨化症患者において3D-CT有限要素法を用いた骨強度の解析を行うこととした。後縦靭帯骨化症患者89例及び対照群として変形性脊椎症患者68例のDXA法を用いた大腿骨近位部や腰椎の骨密度、カルシウムやリン、ビタミンDや活性型ビタミンD、P1NPやTRACP5-bなどの骨代謝マーカーを計測した。さらに3D-CT有限要素法を用いた骨強度解析 (大腿骨近位部、腰椎)も行った。その結果後縦靭帯骨化症患者では変形性脊椎症患者と比べて、大腿骨、腰椎の骨密度、骨強度が有意に高い傾向が見られた。年齢や性別、BMIなど骨代謝に関連する因子を調整した比較結果においても同様に後縦靭帯骨化症は骨密度、骨強度共に高い傾向が見られた。男女別に検討したものでは、男性群では後縦靭帯骨化症と変形性脊椎症患者間で骨密度、骨強度に明らかな違いは見られなかったが、後ろ縦靭帯骨化症女性患者では変形性脊椎症女性患者より有意に骨密度、骨強度が高い傾向が顕著であることが判明した。年齢や性別などの調整を行った上で女性群で比較した結果も同様であった。女性では閉経後骨粗鬆症を呈しやすく、後縦靭帯骨化症と変形性脊椎症患者の間で骨密度や骨強度の差が出やすかった可能性が考慮された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
後縦靭帯骨化症患者及び変形性脊椎症患者のリクルートはそれぞれ、89例、68例と比較的順調に進んだ。また大腿骨近位部や腰椎の骨密度検査や骨強度解析に必要な3D-CTデータを適切に取得することができた。解析においては両群間の大腿骨や腰椎の骨密度、骨強度を比較することで、後縦靭帯骨化症患者では骨密度、骨強度が有意に高いこと、特に後縦靭帯骨化症女性患者でその傾向が強いことが分かった。さらに年齢、性別などを調整することでも同様の結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
後縦靭帯骨化症及び変形性脊椎症患者において、骨代謝に関連するマーカーである血清カルシウムやリン、ビタミンD、活性型ビタミンD、骨形成マーカーであるP1NPや骨吸収マーカーであるTRACP5-bを評価して、骨代謝関連マーカーと後縦靭帯骨化症との関連を調査する予定である。さらに靭帯骨化が頚椎に限局する頚椎後縦靭帯骨化症患者と胸椎まで広範囲に及ぶ胸椎後縦靭帯骨化症患者に分けて、それぞれの骨代謝関連マーカーや骨密度、骨強度などを比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は必要以上に経費をかけずに済んだ。次年度は更なる患者のリクルート、調査で使用する予定である。
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[Journal Article] Evaluation of bone strength using finite-element analysis in patients with ossification of the posterior longitudinal ligament.2022
Author(s)
Toru Doi, Satoru Ohashi, Nozomu Ohtomo, Keiichiro Tozawa, Hiroyuki Nakarai, Yuichi Yoshida, Yusuke Ito, Ryuji Sakamoto, Koji Nakajima, Kosei Nagata, Naoki Okamoto, Hideki Nakamoto, So Kato, Yuki Taniguchi, Yoshitaka Matsubayashi, Sakae Tanaka, Yasushi Oshima.
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Journal Title
Spine Journal
Volume: 22(8)
Pages: 1399-1407
Peer Reviewed
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