2022 Fiscal Year Annual Research Report
半月板欠損に対する脂肪由来幹細胞シートを用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K16680
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 健史 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (20735435)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞シート / 半月板組織 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪由来幹細胞シートを使用して作製した再生半月板組織を用いて、力学試験及びコラーゲン等の遺伝子発現解析による評価を行い、また脂肪由来幹細胞シートによる半月板再生のメカニズム探索を行うことを目的とした。 ウサギの内側半月板前方半分欠損モデルを作成し、自家脂肪由来幹細胞シートを投与した群と投与しなかった対照群を作成した。脂肪由来幹細胞シート投与群は、コントロール群と比較し引張試験では弾性率と最大引張強度が高く、圧縮試験では脛骨関節面の加圧面積が大きく、逆に最大圧力は低下しており再生半月板により荷重負荷をより分散できており力学的に優れていた。逆転写PCRを行った結果、Ⅰ型コラーゲンやSRY-box転写因子9(SOX9)、アグリカン(ACAN)遺伝子のRNA発現量が高かった。標識された脂肪由来幹細胞は半月板欠損部とそれを裏打ちする滑膜組織に限局して集積しており、半月板再生のメカニズムとして投与された脂肪由来幹細胞が半月板組織周辺の滑膜組織に働きかけ豊富な滑膜組織を半月板欠損部に誘導し半月板再生を促進する可能性が示唆された。 半月板の重要な役割は、荷重負荷の分散であるが、半月板組織は一度欠損すると治癒能力は極めて低いことが知られている。しかし本邦では、半月板が欠損した膝関節に対して行える有効な治療法はなく、新しい半月板治療の開発が望まれている。採取が容易で患者への負担の少ない脂肪由来幹細胞を用いた半月板損傷に対する治療法の開発は健康寿命の増進、医療費の削減にも大きな利点がある。本研究は、半月板再生に向けた新たな治療法のエビデンス確立に貢献する。本研究は現在欠損すると治療困難とされてきた半月板欠損に対して革新的な新規治療法の開発にむけた非常に重要性が高い基礎研究である。
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