2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a new chondrocyte aging control mechanism mediated by CCN3 in osteoarthritis of the hip
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21K16686
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 和希 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50756088)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CCNファミリー遺伝子 / CCN3 / 変形性股関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、CCN3が変形性股関節症に関与するという仮定のもと、CCN3の分子的メカニズムの解明とその軟骨変性の進行作用を解明することとCCN3が関節軟骨変性を促進するメカニズムが明らかにし変形性股関関節症の発生および進行を予防する新規の治療法の開発という目的で研究を開始した。人工股関節全置換術で採取した骨頭をOA群、人工骨頭全置換術で採取した骨頭をNormal群とし、骨頭の上方を荷重部、前下方を非荷重部と定義し、それぞれの領域から軟骨を採取した。軟骨は組織よりmRNAを抽出したものと培養してからmRNAを抽出したものの両方を解析している。解析の結果、双方のmRNAでCCN3が荷重部と非荷重部に依存することなく、OA群で有意に上昇していた。また、その他OA関連因子もOA群で有意に上昇していた。荷重部と非荷重部から組織を採取し、それぞれSafranin O染色しMankin scoreで評価したところ、OA群で有意に上昇していた。また、CCN3の発現量とMankin scoreを解析したところ、CCN3の増加に従いMankin scoreも有意に上昇しており、双方から正の相関が得られた。また、同一組織をCCN3で免疫染色したところOA群で有意に染色の増強を認めた。次にCCN3を軟骨に特異的に過剰増殖させたトランスジェニックマウスを作成した。大腿骨頭軟骨を培養しmRNAを抽出したところ、トランスジェニックマウスはワイルドタイプマウスと比較しで有意にCCN3の上昇を認めた。X線検査ではトランスジェニックマウスでOA様変化を認め、CCN3の免疫染色をしたところトランスジェニックマウスで有意に染色の増強を認めた。ここまでの研究結果で年齢や荷重による因子に関与することなく変形性股関節症とCCN3の相関が証明できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院で患者より軟骨を採取するため倫理委員会に承諾を得られるのに約3か月かかってしまい、その間は研究が進まなかった。また、人間の軟骨を培養するのに約3~5か月を要し、組織よりmRNAを採取する手技が確立するのに約半年を要することになってしまった。以上のように当初の予定より遅れており、本研究の趣旨であるRNA sequenceをしてCCN3の代謝経路を解析するのにさらなる期間を必要とすることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
老化およびCCN3発現が直接影響を及ぼす分子や経路の特定をするために、これまで採取したmRNAを用いてRNA-Seq法を行い、発現が変動した遺伝子の網羅的解析を行う。網羅的解析の結果をクラスタリングして発現変動があった転写調節因子やシグナル経路を特定し、それぞれの分子機構を明らかにする。 CCN3のノックアウトで加齢による軟骨変性が予防されるか検討する。CRISPR-Cas9によるゲノム編集法を用い、正常マウスの股関節の関節腔内にゲノム編集のため薬剤(gRNA、Cas9)注入後、遺伝子導入装置により同部に電気刺激を与え侵襲を少なくゲノム編集を行う。このマウスの軟骨細胞を採取し、細胞老化の進行や軟骨基質産生・分解について検討する。また、免疫組織染色を行い組織学的に評価する。
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Causes of Carryover |
倫理委員会の承認を得るまでに時間を要したため、研究の進行が予定よりやや遅れたためである。差額を次年度に使用させていただく予定である。
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