2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of novel pathogenic cells in rheumatoid arthritis based on the establishment of a novel RNAseq database
Project/Area Number |
21K16696
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 光太郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (00815540)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 関節リウマチ / シングルセル解析 / 遺伝子改変マウス / 自己免疫性関節炎 / 病原性細胞サブセット |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、公共データベースや既報論文から取得した関節リウマチ滑膜のバルクRNA-seqデータとシングルセルRNA-seqデータを統合し、申請者独自のRNA-seqデータベースを確立した。発症早期無治療および発症早期で治療介入した関節リウマチ群と非リウマチ群の滑膜を比較し、バルクRNA-seqで早期関節リウマチにおいて発現上昇し、薬剤投与で発現低下した遺伝子群を選定した。さらに、シングルセルRNA-seqで関節リウマチの滑膜に集簇する細胞のクラスター解析を行なった。T細胞、B細胞、骨髄系細胞・単球、滑膜線維芽細胞のクラスターで特異的に上昇している遺伝子を抽出し、それらをバルクRNA-seqで選定した遺伝子群と比較して、それぞれの細胞種別の病原性遺伝子の候補としてリストアップした。この中から、現時点で免疫系での機能が明らかになっていない濾胞性T細胞サブセットの遺伝子X、形質細胞サブセットの遺伝子Y、滑膜線維芽細胞サブセットの遺伝子Zに着目し、CRISPR-Cas9法でそれぞれのノックアウトマウスをコラーゲン誘導性関節炎感受性のDBA1/J系統で作製した。 このうち遺伝子Xのノックアウトマウスにコラーゲン誘導性関節炎を誘導すると、関節炎と骨破壊が顕著に抑制された。現在、詳細な機序の解明を進めている。具体的には、生理的環境下、関節炎環境下での各免疫細胞の挙動や分化増殖能、自己抗体産生能、炎症性サイトカイン産生能の解析を行なっている。加えて、遺伝子Yと遺伝子Zのノックアウトマウスにもコラーゲン誘導性関節炎を誘導し、表現型の解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、関節リウマチ滑膜のバルクRNA-seqとシングルセルRNA-seqを統合した独自のRNA-seq解析データベースを樹立することを目標としていた。多数の発症早期関節リウマチ滑膜のバルクRNA-seqで発現変動する遺伝子群を抽出し、シングルセルRNA-seqで関節リウマチ滑膜に浸潤する炎症細胞のクラスタリングを行い、バルクRNA-seqとマッチアップさせることで関節リウマチの病原性細胞サブセットと病原性遺伝子の候補を選定した。こうして濾胞性T細胞サブセットで同定した遺伝子Xのノックアウトマウスを作製し、コラーゲン誘導性関節炎を誘導したところ、関節炎と骨破壊は顕著に抑制された。現在、詳細な機序の解析を行なっている。 以上の結果から、2021年度はおおむね順調に研究計画が進行したと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年に引き続き、遺伝子Xのノックアウトマウスのコラーゲン誘導性関節炎モデルでの表現型の解析を進める。遺伝子Xが欠損したことによる脾臓、リンパ節、骨髄などさまざまな免疫臓器への影響を確認する。生理的、関節炎環境下での各免疫細胞の挙動や分化増殖能、自己抗体産生能、炎症性サイトカイン産生能をフローサイト、病理組織像、ELISAなどによって評価する。以上により、濾胞性T細胞サブセットや遺伝子Xが関節リウマチ滑膜における病原性サブセット、病原性遺伝子としてどのような役割を持っているのかを明らかにする。 形質細胞サブセットから同定した遺伝子Y、滑膜線維芽細胞サブセットから同定した遺伝子Zについても、コラーゲン誘導性関節炎モデルでの解析に引き続き、各免疫細胞単位での解析を行う予定である。
|