2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16701
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板谷 信行 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10837834)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 変形性膝関節症 / 血流 / 癒着 / 光音響システム / 異常血管 / 疼痛 / 関節周囲注射 / ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症の疼痛は関節内の変形や炎症が原因と考えられており、関節内への治療が一般的であるが、その効果は限定的である。近年、関節外(関節周囲)の異常血管が疼痛に関与することが明らかとなってきている。一方で、トリアムシノロンアセトニド(以下TA)の関節周囲への注射は即時かつ長期的に症状を改善するが、本手技が異常血管に作用し、消退させて疼痛軽減に寄与している可能性がある。本研究の目的は膝OAに対するTAの関節周囲注射の異常血管に対する効果を明らかにすることである。本年度は昨年度と同様に光音響システムを用いたラット変形性膝関節症モデルの経時的観察を中心に、組織観察・PCR・ランドルセリットによる疼痛評価を中心に実験を行った。具体的には生後8週の雄のWistar rats の片側の膝関節に麻酔下にMonoiodoacetate 0.4mgを関節内注射しラット膝OAモデルを作成し、注射後から6週の時点で関節周囲に0.5%リドカイン50μLTA0.25mgを溶解したものを注射する群と0.5%リドカイン50μLのみの注射をする群(n=6/群)に分け、それぞれの群をTAの注射前と後2週と4週の時点で膝関節前内側周囲の組織の光音響信号を麻酔下に測定し、血管の密度変化を確認し、肉眼的にTA注射群でOAに伴って明らかに関節周囲に増加した血管の減少し血管径が不均一になることを確認できた。組織学的にも同様の結果であることが確認でき統計学的な比較も行った。PCRにて遺伝子の発現の変化についても比較を進めている。ランドルセリットによる疼痛の評価ではTA注射後疼痛の軽減を認めた。今後、疼痛との関連性についても評価を加えることで、変形性膝関節症の新たな治療方法の開発につながる新たな知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械・装置の不調と故障に伴う修理・調整及び、社会情勢(コロナ禍)に伴う実験の遅延
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度行った研究のさらなる解析と検討を中心に研究を行う。具体的には①TAの注射前と後2週と4週の時点で膝関節前内側周囲の組織の光音響信号を麻酔下に測定し、血管の変化の経時的な変化を比較し、評価・検討する。②組織標本における組織学および組織形態計測と免疫染色(α-SMA染色による血管分布及び密度の測定)を行い、血流の変化している部位を同定し昨年度までの結果との整合性を得る。③Randall Selitto法(プラスチック製の円錐形の押子を通じて疼痛部位に徐々に圧を加える方法)で癒着及び血流の変化している部位の疼痛について統計学的に検討する。④同部位及びそれ以外の部位から組織サンプリングし、酸素濃度の計測及び遺伝子解析(血管関連:α-SMA、VEGF、HIF-1α、FGF2等、疼痛関連:NLRP3、Caspase-1、IL-1β、IL-18等の定量PCRによる解析)を行い、対照群との経時的な変化を比較し、評価・検討する。
|
Causes of Carryover |
測定装置の故障・調整及び社会情勢(コロナ禍)により実験が遅れており、本年度使用額が減ったため。遅延している実験内容は次年度に繰り越して行う予定である。
|