2022 Fiscal Year Research-status Report
骨粗鬆のある脊椎に対する体外衝撃波を用いた新規治療法の開発とその基盤研究
Project/Area Number |
21K16702
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高澤 英嗣 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (70868695)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 体外衝撃波 / 椎体骨折 / 骨微細構造 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦での骨粗鬆症患者数はいまや1300万人を超え,全人口のおよそ1割に達する.骨粗鬆症に関連する骨折は寝たきりの原因となり,要介護,QOL低下,全身機能の低下,死亡率の増加を引き起こすため,骨粗鬆症の対策は超高齢社会の重要な課題である.とくに脊椎は骨粗鬆に伴う骨折の好発部位であり,骨密度の低下は,加齢に伴い増加する脊椎手術の成否にも大きく関わり,低骨量に関連する術後合併症は20-40%とされる.これらは患者QOLの低下や,医療経済への負担を招くため,「骨粗鬆症の克服」と「骨の健康の健全化」は重要な課題である.そこで,新しい骨粗鬆症治療のモダリティとして,安価・安全で組織修復効果がある「体外衝撃波療法(ESWT)」に着目した.近年 整形外科分野において,ESWTは腱付着部障害に対する除痛を目的に利用されてきた.本研究では,骨代謝に関わる転写因子の遺伝子解析とマイクロCTによる構造解析を組み合わせ,骨粗鬆の脊椎(骨粗鬆症モデルラットの椎骨)に対するESWTの作用メカニズムを解明する.骨粗鬆脊椎に対するESWTの研究は未開拓であり,本研究はESWTを用いた骨粗鬆症椎体骨折の保存治療や脊椎手術の補助療法の新規開発の先駆けとして,臨床応用への基盤研究となりうる.次の項目に関して研究をおこなっていく: 1. ESWTが骨芽細胞・破骨細胞へシグナルを伝える経路(転写因子)の解析 2. ESWTによる骨粗鬆椎骨の組織学的変化 3. ESWTによる骨粗鬆椎骨の骨微細構造の変化(3次元構造解析) 昨年度は,組織修復効果(骨量増加)が期待されるESWT照射プロトコルの候補を同定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴う施設への入構制限などにより,ラットへのESWT照射と骨密度計測がやや遅れた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,骨量増加効果の期待されるESWT照射プロトコルの候補を同定した. 今後は,ラット腰椎に対してESWT照射をおこない,臨床応用の基盤構築のため,次の点を明らかにする. ①骨粗鬆椎骨に対するESWTの骨代謝への効果・作用機序(分子細胞レベルの解析) ②骨粗鬆椎骨に対するESWTの骨微細構造への効果(3次元構造解析)
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う施設への入構制限などにより研究スケジュールが遅れた.そのため,前年度同様に実験遂行に必要な物品の購入を次年度へ繰り越した.
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