2021 Fiscal Year Research-status Report
新規NF-κB阻害ペプチドによる新規変形性関節症治療法の開発
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21K16708
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
惠谷 悠紀 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60898930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NF-κB / 変形性関節症 / MTI-Ⅱ |
Outline of Annual Research Achievements |
①モノヨード酢酸誘導性変形性関節症(MIA)モデルマウスの作成方法、評価方法の確立 C57BJ/6 マウス(雄8週齢;計16匹)の右膝に生理食塩水(10ul)に希釈したモノヨード酢酸[0.1mg(重症モデル:8膝)もしくは0.01mg(中等症モデル:8膝)]を(OA側)、左膝に生理食塩水を(対照側)ハミルトンシリンジに27G針を装着し経膝蓋腱的に関節内に投与した。モノヨード酢酸投与後3週間でSacrificeし、マイクロCTおよびS-O染色での組織学的検査を行った。事前の想定通り、正常群に比較して中等症モデルでは膝関節において関節軟骨の消失を認め、重症モデルではさらに広い範囲での軟骨消失が確認された。 ②内側半月板不安定化モデルマウスの作成方法、評価方法の確立 上記のMIAモデルよりもより臨床に即したOAモデルの作成として、内側半月板不安定化モデルマウスを作成した。10週齢マウスに対し、内側半月板と脛骨関節面の結合組織を切離し、内側半月板を不安定化することによりOAをきたすことを確認した。術後8週時点で評価を行ったところ、マイクロCTでの関節面骨硬化像を認め、組織標本のS-O染色では関節軟骨の摩耗が確認された。 ③軟骨細胞株ATDC5細胞に対するMTI-Ⅱペプチド投与効果の確認 軟骨細胞株ATDC5細胞の培養液に10ng/mlのLPSを加え24時間培養し、RNAを回収しqPCRを実施した。その結果、炎症性サイトカインであるIL-6や蛋白分解酵素であるMMP-3、MMP-13が上昇した。そして、10ng/ml LPSにMTI-Ⅱペプチド3mg/mlを加え同様に24時間培養しqPCRを実施したところ、IL-6、MMP-3、MMP-13の発現が低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
区分:おおむね順調に進行している。 当初の実験計画としては令和3年度にin vivo実験を行い、令和4年度にin vitro実験を進める予定としていた。In vivo実験を進めるにあたって、上述のMIAモデルマウスの安定した作成に時間を要した。また、臨床上の変形性関節症をより反映したモデル動物として内側半月板不安定性モデルマウスの作成を目指す方針とした。それらのモデル動物の作成に時間を要したため、それらのモデル動物に対するMTI-Ⅱペプチドの投与実験がまだ実施できていない。 一方でそれらのモデル動物作成法の確立を目指す期間中に、令和4年度に実施予定であったin vitro実験を先取りして進めることができ、研究仮説を支持する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
<in vivo> 今後は【研究実績の概要】欄のとおり確立したモデル動物に対しMTI-Ⅱペプチドの投与実験を行う。Von Frey testでの疼痛評価、組織学的検査(HE染色、S-O染色、免疫染色)での軟骨組織および骨組織評価、血液検査での炎症性サイトカインの評価を行う。 ①MIAモデルマウス:モノヨード酢酸投与日をday 0とし、day 0・1・2・3・7・9・11・14・16・18に治療薬の関節注射を行う。右膝(OA側)は重症・中等症モデル各10膝にMTI-Ⅱペプチド(4mg・10ul/回)・6膝に生理食塩水(10ul)を投与する。左膝(対照側)は10膝にMTI-Ⅱペプチド(4mg・10ul/回)・22膝に生理食塩水(10ul)を投与する。②内側半月板不安定化モデルマウス:MIAモデルマウスと同様に、半月板不安定化手術をday0として、day1・2・3・7、以後週3回治療薬の関節注射を行う。 <in vitro> 【軟骨細胞のアポトーシス・炎症性サイトカイン・マトリックス分解酵素産生評価】 軟骨前駆細胞(ATDC5)を96wellのplateに4×10^3;cell/wellの濃度でまき、24時間培養を行う。その後、MTI‐Ⅱペプチドを3mg/mlの濃度で50μl/well投与し2時間さらに培養する。そこからIL-1β(10ng/ml)を100μl/well投与し、投与後 24時間、48時間、72時間で生細胞数測定試薬SFを投与し2時間後に吸光度を測定しアポトーシス評価を行う。また同様に得られた細胞を用いてリアルタイムPCRとウエスタンブロットによりIL-6・TNF-αなどの炎症性サイトカインや、MMP-3・MMP-13・ADAMTS-4・ADAMTS-5などの細胞外マトリックス分解酵素の定量評価を行う。
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Research Products
(14 results)