2021 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌浸潤転移に関わる新規ヒアルロニダーゼTMEM2の機能解明
Project/Area Number |
21K16724
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
米山 美穂子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50791696)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒアルロニダーゼ / 膀胱癌 / TMEM2 / ヒアルロン酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックスの主要成分であるヒアルロン酸(HA)は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が 交互に結合した巨大な高分子化合物である。正常組織におけるHAは生合成と分解のバランスにより一 定量に保持されるが、癌では、HAは異常に蓄積、または分子サイズの低下が起こり、癌細胞の接着、遊走、増殖、浸潤および癌周囲の微小血管新生を促進する。近年、高分子HAは 癌抑制性シグナル経路を活性化する一方で、低分子HAは癌抑制性シグナルの不活性化を介 して癌の発症・進展を促すことが明らかにされ (Ooki T et al. Dev Cell, 2019)、癌と癌細胞周囲のHAの相互作用は、HA分子サイズの違いで、癌抑制的にも促進的にも作用しうることが示唆され、HAの分解酵素の果たす役割は非常に重要である。TMEM2は細胞膜上に発現し、HA分解酵素として発見され、TMEM2高発現と癌の悪性度との関連性が報告されている。本研究の先行研究にて、膀胱癌のTMEM2発現が癌の浸潤増殖様式によって発現が変動することを見出した。本研究の目的はTMEM2が癌の進展過程のどのタイミングで、どのような生物活性を発揮するのかを解明することである。 TMEM2発現は、膀胱癌組織標本を用いた検証で、pTaからpT3へと癌が進行するのに伴い、有意に減少することを明らかにした。また、in vitro系にてEpithelial-Mesenchymal Transformation(EMT)の誘導によって、TMEM2発現が減少し、さらに細胞膜上に発現しないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の計画では、下記の3点にフォーカスして実験を進める計画をした。 1, 膀胱癌のEMT-MET進展過程におけるTMEM2発現変動の検証 2, 膀胱癌におけるTMEM2の分子生物学活性の検討 3, TMEM2の細胞内局在変化と既知HA分解経路への関与の検討
上記の検討において、3の既知HA分解経路への関与の検証がまだ出来ていないが、計画通り、概ね研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究成果より、EMT誘導によってTMEM2が減少することが明らかとなったため、今後の研究計画を一部変更し、EMTの誘導によりTMEM2が減少するメカニズムを解明する。
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